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「はあ、45歳です。ちなみに私が子供の頃も、この放送は流れていました。この放送を聞けば、みんな遊ぶのをやめて家に帰ったもんです」
神山が幼少期を思い出しながら、穏やかな表情で説明したが、黒崎の表情はピクリとも動かなかった。
「いいですね。神山さんの幼少期は幸せな時代だったんですね。5時30分まで外で遊んでいたんですか?」
「ええ、そりゃ、学校が終わったら、みんな野球をしたり、サッカーして遊ぶでしょ」
「申し訳ありませんが、そんな時代はとっくの昔に終わっているんです。今の子供たちは、夕方5時30分に家を出て塾に行くんです。神山さんの時代のように、5時30分に家に帰って、母親が作っている晩御飯の香りを玄関先で感じる時代は終わったんです」
女性はため息をつきながら、神山を諭すように説明した。
「まあ、たしかに、そうかもしれませんが…」
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