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逢魔が時。現世と幽世の逢瀬時、魑魅魍魎が誘われる。これはとある祭りの夜の話──
「嗚呼…やっと逢えた、私の可愛い愛し子よ!」
ある小さな小屋で、新しい生命が芽生えた。それは祝福に満ちていた。その瞬間に立ち会った全ての者が、微笑み、喜び、その生命を慈しんだ。その人生が幸福と光に満ちたものであるようにと、心の底から祈っていた。
そして、時を同じくして。
「初めまして、私の可愛い愛し子よ」
ある小さな小屋で、新しい生命が芽生えた。それは悪意に満ちていた。その瞬間に立ち会った者は無く、小屋にいたのは"母親"と呼べる女ただ一人であった。女は嗤い、喜び、その生命を歓迎した。その生命によって数多の不幸と絶望がもたらされることを望んでいた。
収穫祭の夜、2つの世界で2つの生命が目覚めた。
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