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ふと、校舎から女子達の声が聞こえてきた。
声のする2階を見上げると、向かい側の窓際に3人の女子生徒が集まっている。どうやら1人の女子生徒が2人組に話しかけているようだ。
「哀ちゃんと桜ちゃんめっちゃ仲良いよね! てか、ほんと哀ちゃん可愛いー! 髪もそんなに長いのに綺麗だし!」
哀と呼ばれる女子は満更でもなさそうに笑っている。
どうせ学校内で1人にならないように友達を作るため、ある程度の地位でいるための馬鹿らしいお世辞だ。
若い女特有のヒステリックな高い声が五月蝿い。
「すっご! サラサラじゃーん!」
女子生徒が哀の髪に触れると、一際声を張りあげる。
校舎の壁に反射して耳に届いた鋭利な声が、僕の鼓膜を刺した。
その時、もう1人の桜と呼ばれる女子がギロリと髪に触れた女子生徒を睨みつけた。
敵意に染まった視線は、人を殺せそうな程女子生徒を鋭く貫いている。
彼女は何を考えているのだろう。
一瞬で僕の頭は『桜』のことでいっぱいになった。
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