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笑う彼女を見て、僕は思った。
彼女は哀に対して異常に執着し、友達や恋人といった認識に囚われない純粋な愛を向けているのだ。
それも、理性を欠如してしまうほどに。
理性を失い、愛を注ぐその姿は純粋ゆえに残酷で、人を容易く傷つける。
しかし、だからこそ美しい。
気付けば僕はそんな彼女の美しく残酷な愛に魅せられていたのだ。
彼女の美しく残酷な愛が欲しい。僕に欠乏した愛が欲しい。彼女が欲しい。欲しい。
暈を被った満月は、やがて降る雨を予感させるかのようにぼんやりと輝いていた。
「月暈は雨の前触れ」
暈を被る満月を瞳に映し、ぽつりと呟く僕の声は誰の耳にも届かない。
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