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what to do from now on
山形駅前を救急車が駆ける。
サイレンが高らかに鳴り響き国際ホテルの正面入り口で停まる。隊員が素早く行動する。
あっという間に国際ホテルから離れていく。
その救急車は篠田病院に到着した。
国際ホテルの周辺は人混みがすっと退けた。そんな救急車がきたことすら知らずに裏の地下のドムドムハンバーガーでテリヤキバーガーに食らいついている私。
20年前のことを思い出す。
迷子の少女を助けた記憶が浮かんでくる。
「東海珠乃、お兄ちゃんありがとう」
迷子センターに行く時彼女は自分の名前を言った。しっかりした少女だ。
「俺は佐伯、迷子センターに行けばすぐお母さんがくるから大丈夫だよ」
私はそう言った。
このヤマザワでの20年も前の出来事だ。
今頃立派な社会人になってるだろう。
顔も覚えていないのだが。
私は山交ビルを出て駅に向かった。
ペレストリアンデッキにはそれなりに人が行き交っていた。
「あの、お時間よろしいでしょうか?」
何かのアンケートなのか、若い女性が尋ねてきた。私は何も用事もなく時間もあったので立ち止まり話を聞くことにした。
その女性は自由帳とペンを持って私の前に立ち説明する。パッと浮かんだ言葉を書いてくださいということだった。
私はペンを受け取り20年前の少女と書いた。さっきいた山交ビルで起きた出来事が頭にあったからだろう。
「これは?」
女性は不思議そうな顔をした。知らなければわからないだろう文字だ。私は出来事を話し女性は「あー、なるほど」とうなずいた。
ペンで文字の下に佐伯と書いて終了だった。
「色んな物語がありますよね」
女性はそう言って微笑んだ。
私はペレストリアンデッキから西口の霞城セントラルまで歩く。
映画もいいな。と思いソラリスに降りるエスカレーターを下っていく。
映画のポスターが過ぎていく。エスカレーターが下っていく途中で私は煙草を咥えた。
映画鑑賞といこう。
シネコンに不快感を感じながらチケットを買ってシアターの扉を開ける。
席に座りスクリーンを見つめる。
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