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狂っていく男
煙草を一本咥えて火をつける。
山形の駅前にある喫茶店。窓際の席。去っていく恋人を見ながら茫然としている俺。
「別れよ、正幸とはやっていけない」
珠乃はそう言って去っていった。何がいけなかったのか?珠乃は看護師で忙しいから支えていってるつもりだった。
俺の自己満足だった。
俺はゆっくりと席を立ち喫茶店を出る。
珠乃とは終わってしまった。
三年だ。珠乃が看護師なるまでの少しから看護師になって透析勤務になるまで、三年。
これからだと思っていた。
なんとなく駅に向かい、なんとなく霞城セントラルに向かっていた。
どこを目指すとかなくて、足の向くまま気の向くまま···である。
俺の心の中に怒りが満ち溢れてきた。
東海珠乃への怒り。許せない思い。
タランティーノのあのシーンが浮かぶ。映画館で火炎放射機をぶっぱなすシーンだ。ワンスアポンアタイムインハリウッドの火炎放射機をぶっぱなすシーンも浮かぶ。快感だろう。
復讐してやる。
スベテ灰にナレ。
正幸の珠乃への狂った思いが行動を促す。
まずは火炎放射機···。
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