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いつも、いつも、夕方になるとここに来る。そして龍神様と話をする。
僕は中学にあがった。勉強もそこそこ、運動もそこそこできた。彼女も出来た。とても綺麗な女の子。小っちゃくて、勉強が出来る子。
僕はそこに妹の影を見出したから。
僕は勿論そんなことを言わなかった。生理的に受け付けない、なんて言われそうだと思った。
どこかで、いつも死んだ妹のことを考えている。そして彼女と喋っていると、その面影に恋をしている。何て不純なんだろう。
中学生になっても、龍神様と話していた。
夕方が好きだな、まるで天使がまどろんでいるような、天だ。
「ねえ龍神様」
「何だい?」
「僕は少しおかしいのかな」
「いいんじゃない、おかしくても」
「いっそ死んで、妹に会いたいな、って思うんだ」
そう言うと、龍神様は説教を始めた。
「あなたの意志でそこに立っている、あなたの意志でこの世界に生まれてきた、それに対して、あなたは責任を持たなければならない」
「ふーん、僕の意志か」
「そうだよ、結局、神や仏が何と言おうと、あなたは自分の意志を貫きなさい」
「へえ、有難いお言葉だ」
僕は深くお辞儀した。
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