私の言葉

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 それから時間は過ぎ、着々と教室に人が集まってくる。  時間になると担任が来て出席を確認。そして授業が始まる。  いつもの風景。六時間目の授業を終え、帰ろうと身支度をしていると二人組の女子が声を掛けてくる。 「東條さん!これから結衣と遊ぶけど一緒に遊ばない?」 「無理だったら、断ってくれても大丈夫だよ?」  元気で明るい性格の黒宮 恵梨香とゆったりとしている優しい雰囲気の東雲 結衣が声を掛けてくる。  彼女達はいつも私を誘ってくれる。とても嬉しい、嬉しいのだが私では彼女たちと釣り合わないような気がしてしまう。 「ごめんなさい、今日他校の友達と約束があって...」  嘘だ。約束なんてしていない。しかし、二人とも笑顔で気にするなと言ってくれる。  私みたいな地味な子に声を掛けてくれるのに、それを無下にする私は最低だ。  そう思いながら去っていく二人に手を振り、ふと空に目を向ける。  鮮やかな赤い空。あまりにも綺麗なものだから目を奪われる。  我に返り、身支度が終わっていないことに気がつき慌てて始める。  身支度も終わり、玄関まで来ると校門の前に見知った人が見えた。 「しーちゃん?」  その人物は辺りを見渡し、私を見つけると手を控えめに振ってくれる。  久し振りに見たしーちゃんの笑顔が変わらなくて嬉しくなり小走りで彼女のもとへ向かう。  しーちゃんは何も言わずに私が来るのを確認すると帰り道を歩き始める。  学校を離れて家が近くなってくると話始める。  私が人に見られることが苦手なことを覚えてくれているのだ。  しーちゃんの優しさに笑みが溢れる。彼女の顔を見ると私の方を向いて笑ってくれる。  私はそんな彼女の笑顔が好きなのだ。  人が少ない通りになってくるとしーちゃんは大きなため息を吐く。  私は何かあったのかと心配になり声を掛けようとするが、しーちゃんの声に遮られる。 「久し振りにあったけど紫穂は変わらないねぇ」  そう言って私の方を見るしーちゃんにむっとする。  私だって少しは大人っぽくなったと思っている。 「しーちゃんこそ全く変わってない!」  私は良いんだよと言って私の一歩前を歩く。  暫しの沈黙。何か話さなくてはと困っていると分かっているかのように、しーちゃんが振り返り私の方を見た。 「ねぇ紫穂、友達できた?」  その言葉に息が詰まる。友達なんて私にはいない。  私を心配そうに見るしーちゃんに出来る限りの笑顔を作る。 「うん、できたよ」  私の言葉にしーちゃんは足を止める。彼女の顔を見ると真剣な表情をしていた。  私は初めて見るしーちゃんの表情に驚いて何も言えなくなってしまった。  怖いというより不安になった。不安でいっぱいの胸を撫でて落ち着かせようとする。  しかし、落ち着くどころか焦るばかり。どうしようと悩んでいると、しーちゃんの笑い声が響いた。
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