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翌日、いつも通り登校し先生と挨拶を交わす。
何も変わらない日々。ただ一つ変わったことは私自身。
教室に着き扉を開ける。誰もいない教室でいつも通り本を読み始める。
変わりない風景だが私には変わって見えた。
数分経ち、静かに入ってくる女の子。鞄から本を出し読み始める彼女に、私は立ち上がり声をかける。
「本好きなの?」
戸惑ったように周りを気にしているが、私の言葉に頷いてくれる。
自己紹介もすることができ、鈴音という名前も聞けた。
その後は本好きという共通点のお陰か話が弾み、いつの間にか他の人も来る時間帯になっていた。
鈴音に手を振ると振り返えしてくれた。
普通のことが出来た喜びと友達になれた嬉しさが混ざり合う。
一歩前に踏み出せたことが嬉しかったのか、授業があっという間に終わっていた。
挨拶を済ませ身支度を整えていると、恵梨香と結衣が昨日と同じように声を掛けてくれる。
結衣が無理だったらという言葉を遮って私は言った。
「私も一緒、遊びに行っても良いかな?」
恵梨香と結衣は顔を見合わせると満面の笑みで頷いてくれる。
何処に行くか決めていると帰ろうとする鈴音を引き留める。
「鈴音ちゃん!良かったら鈴音ちゃんも遊ばない?」
恵梨香と結衣に確認するとすぐに承諾してくれた。
私が鈴音に笑いかけると彼女も笑ってくれた。
「なんか雰囲気変わったよね」
恵梨香に言われそうかなと返す。別に変わったわけではないのだ。
私が気づかせてくれただけ。そう思うと自然と笑みが溢れた。
私を見ていた恵梨香と結衣が問い詰め、鈴音がそわそわしていたが私は秘密とだけ言う。
だってこれは私としーちゃんだけの誰にも言えない隠し事だから。
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