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にやつきながら、机に戻る。荒れた机の上には吸い殻を積み上げた灰皿と散った灰、落ちそうなキーボード、そしてライターだ。
俺は、お前には負けねえ。
ライターを手に布団へ向かう。横車を擦ると、赤い光が揺れた。
明日の一面はお前じゃねえ、「俺」だ。
しゃがみこみ、布団の端にライターをかざす。明るく透けたカバーは、すぐ光に飲まれた。くすんだ煙を立ち上らせながら、じわりと炎が拡がっていく。そうだ、これでいい。
勝つのは、青柳、お前じゃねえ。
俺だ。
(終)
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