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「和泉ちゃん、明日は部活?」
「バイト」
「あれ、こないだ撮ってたやつは?」
「編集も終わってコンクールに出した」
映劇放送部、という映像部と演劇部、放送部がひとつになった部活で、その名の通り映像を作ったり演劇をしたり校内放送や運動会などの行事では実況をしたりする。
私は劇も放送もしないけれど、映像を撮る。この間も、部活の子が作成した台本で映画を一本作ったばかりだ。それを、映画甲子園に提出した。次は学園祭に向けての映画を一本、それとドラマを二本撮ろうかという話も出ている。台本が出来上がればの話だけど。
ズゴゴゴッと氷を吸う音がして手元を見ると、既に空になっていた。隣からも同じような音がして、見ると空っぽになっている。
「さて、」
左手でカップを持ち、右手で私の手を握った隼巳が、にこっと笑う。こいつがこんなに爽やかな笑顔を浮かべる時は、大抵碌でもないことを考えている時だ。身構えていると、カウンターチェアから下りた隼巳からふわりとシトラスが香る。
「行きましょうか」
二人きりになれる所へ。
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