瘴気
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室長が退室し榊 祐子はにんまりと笑みを浮かべ知事室に入っていく。重い扉が開かれると執務中の箕池喜久子の姿がちらりと見えた。一瞬、視線が合った気がして恭輔は動揺した。以前の知事と気配が違っている。 ーーまずい 物音をたてずに恭輔は秘書室をあとにした。 「ネズミでもいたのかしらね」 「……?」 知事の言葉に首をかしげる榊。 「なんでもないわ」
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