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レオもエディも雷に打たれたみたいに固まっている。
そうだよね、こんなにきれいな子、今まで見たことが無い。
っていうか、あれ? 違う。むしろどこかで見たことがあるような……?
「これは…………」
エディが呟く。
それは美少女にうっとりというよりも、びっくりしすぎて次の言葉が出ないような様子で。
「嘘だろ、そっくりじゃねぇか」
レオが言った。
え? そっくり?
誰が誰にそっくり?
きょろきょろと見回して、僕はお姫様とバチッと目が合った。
するとお姫様も、きれいなお口をアルファベットのOみたいにぽかんと開いた。
あ、これ、どっかで見た。
あの水鏡の中で、ぽかんと口を開けた、完全無欠の美少年。
「あ! リュカそっくり!」
「余にそっくりではないか!」
僕とお姫様は同時に声を上げた。
「おお、そこの者! 顔をよく見せてくれぬか」
お姫様は胸の開いた豪華絢爛なドレスを着ていたんだけど、足は裸足だった。
お輿の中から自分で丸い敷物を出して、お輿の外に置き、その上に小さな足を置いた。
本当は御付きの人とかがお世話してあげるはずだと思うんだけど、ここにいる誰もが、お姫様と僕のそっくりな顔に驚愕していて、うまく動けないでいた。
「こちらへ来なさい、美しきもの」
お姫様は命令することに慣れた口調で言って、その布の上に立った。
「その顔を余に見せよ」
リュカそっくりな女の子に言われて、僕はふらふらーっとそのそばへ寄った。
細い手が僕の腕をつかんで引き寄せる。
僕はブーツのままで敷物に乗ってしまった。
「あ、ごめんなさい」
「うむ、かまわぬ。もうちょっとよく顔を見せるがよい」
お姫様がぐいっと僕の肩をつかむ。
細いわりに、意外と力が強い。
「ふふふ、美しい。やはり本物は違う」
「え」
お姫様がニヤリと笑うと、急に僕の体に抱きついてきた。
丸い敷物がぽうっと光り出す。
エディがあっと声を上げた。
「いけない! それは転移陣です!」
エディの手が僕へ届く寸前に、僕はカッと眩い光に覆われて何も見えなくなってしまった。
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