7-(5) 冷酷な魔族の王子

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 レオもエディも雷に打たれたみたいに固まっている。  そうだよね、こんなにきれいな子、今まで見たことが無い。  っていうか、あれ? 違う。むしろどこかで見たことがあるような……? 「これは…………」  エディが呟く。  それは美少女にうっとりというよりも、びっくりしすぎて次の言葉が出ないような様子で。 「嘘だろ、そっくりじゃねぇか」  レオが言った。  え? そっくり?   誰が誰にそっくり?  きょろきょろと見回して、僕はお姫様とバチッと目が合った。  するとお姫様も、きれいなお口をアルファベットのOみたいにぽかんと開いた。  あ、これ、どっかで見た。  あの水鏡の中で、ぽかんと口を開けた、完全無欠の美少年。 「あ! リュカそっくり!」 「余にそっくりではないか!」  僕とお姫様は同時に声を上げた。 「おお、そこの者! 顔をよく見せてくれぬか」  お姫様は胸の開いた豪華絢爛なドレスを着ていたんだけど、足は裸足だった。  お輿の中から自分で丸い敷物を出して、お輿の外に置き、その上に小さな足を置いた。  本当は御付きの人とかがお世話してあげるはずだと思うんだけど、ここにいる誰もが、お姫様と僕のそっくりな顔に驚愕していて、うまく動けないでいた。 「こちらへ来なさい、美しきもの」  お姫様は命令することに慣れた口調で言って、その布の上に立った。 「その顔を余に見せよ」  リュカそっくりな女の子に言われて、僕はふらふらーっとそのそばへ寄った。  細い手が僕の腕をつかんで引き寄せる。  僕はブーツのままで敷物に乗ってしまった。 「あ、ごめんなさい」 「うむ、かまわぬ。もうちょっとよく顔を見せるがよい」  お姫様がぐいっと僕の肩をつかむ。  細いわりに、意外と力が強い。 「ふふふ、美しい。やはり本物は違う」 「え」  お姫様がニヤリと笑うと、急に僕の体に抱きついてきた。  丸い敷物がぽうっと光り出す。  エディがあっと声を上げた。 「いけない! それは転移陣です!」  エディの手が僕へ届く寸前に、僕はカッと眩い光に覆われて何も見えなくなってしまった。
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