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奏でろプロローグ
「ありえない。」
指揮棒が下りると共に吹いていた楽器を下ろす。
「あなた達、今まで先輩がいた間どんな練習をしていたんですか。」
顧問が全員の前で頭を抱えて見せる。
吹いていた曲はリバーダンスだ。テンポも早く、最初の音を揃えることが大切になる楽曲だ。
「音が揃ってない。あなた達合奏する気はあるんですか?」
長い髪を耳にかけながら顧問が問いかけてくる。
「彩乃さん、あなたどうなの?」
「はいっ...!?」
急な問いかけに彩乃は受け答えができない。急すぎて返事も裏返った。
「いや...その...縦に音を揃えられてないと言うか...」
(だから部長っていう立場は...)
彩乃は今現在部長なのだ。去年の先輩から指名を受け、なった部長だが、彩乃は気にはくわなかった。
「そうね。彩乃さんの言うとおり縦が揃ってない。音を間違えてる。あなた達なんの為に合奏してるの?」
あなた達なんの為に合奏してるの?
その言葉は彩乃の心に突き刺さって抜けなかった。
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