右近

2/4
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
そのまま、他愛のない話を生徒達がしていると、遠くから教授と共にモデルの女性がやってくる。黒髪にハッキリした顔立ちで、中々の美人である。まつ毛も長く、瞬きはゆっくりで視線が流れてくるのが分かった。右近はモデルに性的興奮を覚えたことは未だかつて無いのだが、今日はいつもと違い鼓動が早くなる。自分に気があるのだろうか、ふとそんな、思春期の男子学生のような気持ちになるのを抑えながら、しかし彼女の身体のラインを想像している自分もいた。 「市川左野香さんだ。テーマは、彼女から言ってもらう」 教授が紹介を終えると、彼女はゆっくりと口を開いた。 「今日のテーマは、〖 左向きの女〗です」 まるで、ラズベリーのような弾ける艶やかさが、彼女の声にはある。 ゴクリ、と唾を飲み込む。 今日がヌードモデルでなくて良かったと、心底思った。きっと自分は勃起してしまっていただろう。その位魅力的に見えた。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!