生命の結晶

0日目

「 ...はい、53小節目は、ソプラノとテノール出かけ合いになっているから、そこは互いに聞き合ってください。
　では、49小節目からソプラノとテノールでお願いします...。」

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...はぁ、これじゃ最優秀賞は難しそうだな。ダメなことをピックアップすれば、どんだけでも出せるだろうが、それじゃ本番までには間に合わない。後二週間もないのに、どうやって完成まで持っていけばいいんだ。

「橘君、今回アルトパートはどうだった?」

「アルトパートね、基本的には問題はないかな。ただ、曲の特徴を引き出せてない。この曲だと、Eで盛り上がるけど、ここは男子に引き継ぐ必要があるから、まずはもっと盛り上げた方がいいと思うよ。
　田中さんも、アルトのパートリーダーだから大変だと思うけど、アルトの指導はよろしくね。」

「橘君こそ、バスのパートリーダーやりながら、指揮者で全体の指導やってるんだから、君よりは楽だと思うよ。
　まあ、私も最優秀賞取れるように頑張るね。」

　まぁ、アルトとバスはまだましなのかな。まぁ、バスは自分が教えてるから贔屓目(ひいきめ)に見てそうだけど。

　それにしても、最近のこの息苦しさは何だろう。どんどん息苦しくなって、階段の上り下りすら苦しくなってきてる。
　病院に受診した方がいいんだろうけど、この時期に抜けるのはきついからな。
　それに、気胸でこのレベルなら入院だろう。谷口が確かこのくらいで二週間休んだしな。

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「橘、パス!」

　はぁ、体育は疲れるから嫌なんだよな。適当にやって終わらせたいんだけどな。ハンドボールだから抜けることも無理だし...。

「おい!危ないっ！」

　えっ?って、痛っ！

「橘、大丈夫か?今、絶対頭から倒れたよな?
　まじですまん、別の方向向いてたからぶつかっちまった。」

「あぁ、いや、大丈夫だよ。こっちもよそ見していたし。」

「念のため、保健室行って来いよ。頭打った時は危ないぞ。」

「了解、じゃあ保健室行ってくるよ。」
　よしっ!体育抜けれた!

　ただ、頭が痛すぎるな。これはちょっとやばいかもな。視界もぐわんぐわんしてるし。

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「まぁ、頭蓋骨は割れてなさそうだよ。体育はケガがつきものだからね。ただ、今日の体育は参加しないでね。
　後、頭打ったんだから、明日は病院に念のため行ってきてね。視界はまだ揺れてるかな?」

「あぁ、まだ揺れてますね。この後は体育休んでおきますね。」

　はぁ、今日はため息つくことが多いな。病院に受診か、肺のことよく分からんけど、ばれんければ良いな。
　まぁ、体育を休めるだけでも良しとするか...。