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甘々な
なんか、なんと言うか……今日の伊織はいつもより数倍甘い。
「……ん、……伊織、っ……くすぐったい」
「そぉ?でも……やめたくねぇし、もうちょっとだけ」
ベッドの中、後ろから抱きしめられては首筋や耳の裏にキスをされる。
さっき1回だけシて、今は休憩中。でも、その間も伊織は俺にくっついて来て離れようとしない。
「晴弘さん……良いニオイ。相変わらず甘いお菓子みたいっすね」
「そ、そんな事……んあっ、ちょっ、ちょっと……そこはダメ……っ」
耳元で囁かれながら脚の付け根や内股部分を大きな手で撫でてくるので、自然と中心部が持ち上がる。
彼は俺の感じるところを全部知ってるから、絶対にわざとだ。少し休憩ってお願いしたのに、すぐにこうやって俺をその気にさせてしまう。
俺は逃げられない状況下で焦らされまくり、あっという間に理性が飛んでしまう。
「い、おり……んっ……もぅ、ちゃんと触って」
「触ってって、どこを?」
「も、いじわるすんなぁ……」
絶対分かってるのに、絶対いじわるしてくる。なんなんだよ一体。
俺は伊織の手を掴み、そのまま中心部の竿を握らせた。
「……ここ、触って……っ、伊織の手で……気持ち良くして」
「ははっ……かぁわいい……」
「わ、笑うなバカ……んあっ」
「すみません……アンタが可愛くて、つい」
彼の手が上下に動き、刺激が加わる度に腰がひくついてしまう。
好きな人に触ってもらえる。それが嬉しくて心地良くて、愛しくて。
俺があんまりにも熱い吐息を零すから、伊織も下半身を硬くしては後ろから押し付けてくる。
「……晴弘さん、俺も一緒に抜いていい?すげぇ興奮してきた」
「ん……っ」
「脚、ちょっとだけ上げて……そう、上手」
太ももの間からソレが差し込まれ、俺の竿と重なった。そこを伊織の手が包み込み、また動かす。
「……はぁ……晴弘さん、すげぇ濡れてる……気持ちいい?」
「んあ……あっ……いい……」
「……マジで可愛い……好き。大好き。……俺も気持ちいいよ」
優しく囁かれる声に、無数に降ってくるのキスの雨。最初は匂いを嗅がれるのも嫌だったのに、今では彼のその行動ひとつで安心出来てしまうようになっていた。
……ああ、俺……本当に伊織無しじゃ生きられなくなってるな。伊織の居ない人生なんて、考えられない。
前だったら、生きる為に仕事を頑張ろうとか、大人だから我慢しようとか、そんな事を当たり前だと思って生きていた。でも、伊織に出会ってからの俺は強欲でしかなかった。だから仕事も我慢もやめて、ここに戻って来たんだ。
俺が俺らしく生きる為に。でもそれは、伊織が一緒じゃないと成り立たないから。
俺は頭だけで後ろを振り向くと、伊織の目を見つめて「キスして……」とお願いした。すると前を弄っていた手を少し緩めては
「舌、出して」と言われる。
「ん、あ……っぅん……ふ、ん……っ」
食むような柔らかい口付けが気持ち良い。
こんなにゆっくりと時間をかけて愛を確かめ合うのも良いなと、俺はふわふわした気分で思っていた。
「ん……、んあっ……い、伊織……」
「……なに?」
「今日……なんか優しいな」
「そぉ?いつも優しいでしょ、俺」
「そーだけど……そうじゃなくてさ」
唇が離れてから、俺達は見つめ合ったまま話しを続ける。
「……いつもはその……余裕無くなるまでシてるじゃん、お互いに。でも、今日は1回シて、休憩して、それでゆっくり触ったりとかキスしたりとかして……気持ちに余裕があるからさ、色んな事考えるんだよ」
「……色んな事って?」
頬を寄せながら、伊織はちゃんと耳を傾けてくれている。だから俺も甘いこの空気に乗じて素直に話せるのだ。
「……勿論、全部伊織の事。俺の人生には伊織が欠かせないなって、再確認してた。コレを貰った時、俺は他の全部を捨ててでもお前と一緒になりたいって、そう思ったから」
指輪をはめていた左手を上げ、見せつけるようにそこへとキスをする。するとそれを見た彼は、俺の左手を握り自分の方へ引き寄せては重ねるように同じ箇所へとキスをした。
「俺も……俺の人生には晴弘さんだけでいい。他にはなにもいらない」
それから再びギュッと抱きしめられると、伊織は艶めかしい吐息を零すのだった。
「……晴弘さんを手に入れるだけで良いって思ってたケド、やっぱ足りねぇ。もっといっぱい好きだって、アンタを甘やかしたいな」
「……まだこれ以上甘やかすのか?」
俺が笑いながら問いかければ、伊織も微笑んでは頬擦りして甘えて来る。
「当たり前だし。晴弘さんがしつこいって言っても、もうやめてやんねぇから」
甘く幸せな時間が穏やかに流れている。この流れに身を任せて、辿り着く先は一体どこだろうか。
俺もそんな伊織に甘え返すようお互いの左手同士を繋ぐと、さっきと同じ様に、彼の指輪にもキスをしてあげた。
「……ん、やめなくて良いよ。ずっと俺を捕まえててね」
俺ももう、伊織を離さないから。
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