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「!」
もしかしたら、聞いた本人が一番驚いているかもしれない。
俺は「えっと……」と少し焦りながら目を泳がせていると、伊織は笑いながら無理しなくていいっすよ、と気を遣ってくれる。
でも、俺が言い出したんだからちゃんとやりたい。
俺はまず伊織のそこからゴムを外し、次に身を屈めては白濁の付いた竿に手を添えた。
「……舐めても良い?」
「……晴弘さんが嫌じゃなければ、いいよ」
「ん、」
そっと唇を開き、思い切って、初めて口の中にソレを収めてみる。と、最初は大きくて無理だと思っていたそれも、クセになるような舌触りにだんだんと夢中になっては前のめりになってしまっていた。それに、伊織がこんな事をするのを許してくれたのが嬉しくて、余計に舌先を絡めては吸い付いてしまう。
「……っ、晴弘さん……それ、ヤバイ、気持ちいいかも……っ」
「……んっ、きもひいい?」
「ちょ、そこで喋んないで……っ……また元気になっちゃうから」
「……ふ、ぅん……ひぃよ……いっひぇ」
「っ……ばか、もういいから。……マジで離して」
「まっれ……まら……っ」
まだもう少しだけ、咥えていたい。
しかし無理矢理顔を上げさせられると、俺はそこで初めて我に返った。
……あ、もしかして嫌だったかな。しつこくし過ぎたとか……。
けれど見上げた先には、耳まで真っ赤にした伊織の興奮顔があったのだ。
「い、伊織……?嫌だったか?気持ち悪い?」
念の為にそう尋ねると、彼は俺のほっぺたを両手で包んだまま唇に軽くキスをして来た。その行動に俺はまたビックリして、大きく目を見開く。
……伊織の咥えた後の口なのに、躊躇わなかったな。
顔が少し離れると、彼は深呼吸をして優しい声で囁く。
「……違うから。大丈夫。もうキレイになったし……ただ、アンタがエロいからまた勃ちそうになっただけ」
「そ、そっか……なら、良かった」
嫌がってはない……?そうか……俺、ちゃんと伊織に受け入れられたんだ。
なんだかその事が嬉しくて、不意に涙が溢れてくる。
それを見た伊織はギョッとしたように慌てて、不安そうな顔で俺の涙を指で拭った。
「は、晴弘さん?どうしたの?大丈夫?もしかして無理してたんじゃ」
「ち、ちがっ……大丈夫だから……っ」
「でも、泣いてる」
「……これは……嬉しいからでっ」
俺は止まらない涙を自分でも拭い、彼を安心させる為にも泣きながら笑ってみせた。
「俺が伊織にしてあげられる事があるんだって……それが分かって嬉しかっただけ、だから」
一緒に暮らしてるのに、俺の立場は前とあまり変わらないと思っていた。そりゃ伊織のストレスになる事は出来るだけ避けたいけど、もし伊織が平気だと言うのならもっと色々としてあげたいのだ。そのスタートラインに今やっと立てたような気がして、嬉し過ぎたのだ。
すると伊織は、俺の身体をギュッと抱きしめては頭を撫でてくれる。
「……ありがとう、晴弘さん。アンタを好きになって良かった」
「そんなの、俺だって……」
「これからは、遠慮しないでもっと俺に触って下さい。晴弘さんがしてくれる事なら、俺もなんだって嬉しいし」
そう言うとまた伊織に押し倒されて、今度は長めのキスを交わす。
フェラをした後でもキスをしてくれる。本当に、前と比べると驚く程に彼の潔癖症は治りつつあるのだ。それが俺のおかげだとしたら、どんなに嬉しいか。
「……っふ、んん……ぅあ、……伊織ぃ」
「っ……ん、なに?」
「……これからはさ、俺も頑張るから……色々教えてな」
微笑みながらその首に腕を回すと、伊織は赤くなっては目を反らしてしまった。なんでだろうと不思議に思っていると、俺にも聞こえるような声でボソリと呟くのだ。
「……マジでアンタに色々教え込みてぇ……」
「え?」
チラリとこちらの様子を伺う彼の視線に、俺もすぐに察しては真っ赤になった。
「ば、バカっ!変な事考えてんなよ!変態!」
「変態はアンタもでしょ、まったく……どんだけかわいいんだか」
そんな事を言われながら身体を触られて、またビクンッと反応してしまう。
それからもう一度伊織に抱かれた俺は、その後は昼まで彼と一緒に眠っては幸せな居心地に包まれていたのだった。
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