ひとりのままか、ふたりになるか

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『お疲れ様です、あ、これ。食べます?』 『え、最後の一個だけどいいの? 遠慮とかしないけど嫌わないでね?』 『嫌うわけないじゃないですか。受け取ってください』 『うん、じゃあ、いただきます』 心底嬉しそうに包み紙を開けて食べはじめていた。あの人の場合、かすが口の端についているのも、絵になる。不思議だ。 『好きなんですね』 『うん、好きだよ』 微笑む顔は、お菓子のパッケージに写る少年よりも、綺麗だと思う。きっと、お菓子がなくても、慎二の前では笑っているのだろうな。心底羨ましくて仕方がない。 名前を呼ばれて、楽屋を出るとき、慎二が『やめとけって言ったろ』なんてぼそっと言ってきた。 分かっていやがったのか。 くそ。 ああ、俺、なにやってんだか。
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