始まり

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始まり

気がついたら朝だった。 いつの間に寝てしまったんだろう・・・。 昨日は、たっくんの浮気が発覚して別れられて・・・・ 金井さんと部屋に戻って・・・ そうだ・・抱きしめられたんだ。 昨日の事をだんだんと思い出してきた。 付き合おうって言われて、OKしたよ・・・ねえ。 といろいろ考えていたら、隣に人の気配を感じた。 「???」 「佐伯、起きたんだ。大丈夫か?」 「金井さん!」 「朝から大きな声出すなよ。」 なんで金井さんが隣に寝てるの??えーーと自分の体を確認した。 「してねーし」 「して・・・・・」 「泣きながらお前が寝ちゃったからそのまま俺も寝た」 そうですか・・・ってならないよー。 「シャワー浴びて来いよ。9時にはチェックアウトして取引先に行くぞ」 「はい・・・」 「今日は別のところに泊まる。もう手配済み!」 「はあ・・・え?今日帰るんですよね?」 「明日は休みなんだから、京都を満喫しようぜ」 「・・・・・」 「とにかくシャワー浴びてこい!」 言われるままにシャワーを浴びに行った。 鏡に写った顔はひどい・・・泣きすぎたなあ。 でも久しぶり思い切り泣いた気がする。金井さんのおかげ。 いつも我慢してたから・・・。気持ち的には別れて楽になれたかも? でも、金井さんと付き合うんだよね・・・忘れてる?? いろいろ考えながら着替えてメイクして部屋に戻る。 「俺はすっぴんの方がいいなあ。俺の前ではすっぴんでいろよな」 「へ??」 「俺もシャワー浴びてくるわ。」 「は・・い」 すっぴんみられたーー。終わったーーーー。 扉が開いて、ふと見ると上半身裸で濡れ髪の金井さんがいた。 細マッチョな体、濡れ髪、やばいセクシー過ぎる。 これはファンが見たら絶叫ものだろうなあ。 「何・・・」 「いや・・・体鍛えてるんですか?」 「まあそれなりにな。30過ぎたらいろいろ衰えてくるだろ。」 「そういうもんなんですか?」 っていうか早く着替えて・・・なんかドキドキしちゃう。 「顔、赤いけど?変なこと考えた?」 「考えてません。部下の前で上半身裸とかありえないですよ!」 「彼女の前なんだけど?」 「・・・・」 「違った??」 「・・・・・・・」 「何?そんなに見るなよ」 「本気だったんですか?」 「は?本気だったけど?」 「昨日は冷静じゃなかったので・・・・」 「で、なかったことにしろとでもいうのか?」 「・・・・」 「後で聞くわ。チェックアウトしてどっかで軽く朝飯食おう。」 なんか怒らせた?? 私を慰めるためだと思ってたし、私もショック過ぎて誰かにすがりたかったし・・・。 ひとまず仕事が優先。 金井さんはあっという間に仕事モード完成で、ホテルをチェックアウトする。 途中コーヒーショップに立ち寄る。 金井さんが先に 「ブラックをホットで1つと・・・佐伯は?」 「え?」 「何飲む?」 「カフェオレのホットで・・・」 「なんか食うか?」 「いえ大丈夫です。」 「じゃあそれで」 とあっという間にお会計終了。 「あの・・・私の分払います」 「いいよこれくらい」 「でも・・・」 「気にするな。俺は佐伯の上司だからな。」 なんかイジワルな言い方された。 それから、取引先に行きプレゼンを終わらせた。 時間はお昼過ぎ。 「先に宿泊先に行こう。スーツも脱ぎたいし。」 「・・・」 「ほら!」 とタクシーを停めて荷物をのせる。 断ることもさせてもらえず、強引に事が進んでいく・・・。 タクシーに乗って30分。着いたところはステキな雰囲気の旅館。 「ステキー!ここって半年先まで予約でいっぱいのとこですよね?」 「俺も来てみたかったんだよね。予約取れてよかった。」 予約なんで取れたのかな?? そこへ 「金井様お待ちしておりました。」 「今日はお世話になります。」 「離れにお部屋を準備していますのでどうぞごゆっくり。 お食事はいつごろにお持ちしますか?」 「そうだな・・・・。ちょっと出てこようと思っているので  19時にお願いします」 「かしこまりました。お荷物をお運びしますね」 「ありがとうございます」 気が付けば、仲居さんと荷物と一緒に金井さんが遠のいていく。 「佐伯。何してるんだよ。早くこい」 「あーーは・・い」 訳の分からないままついていく。 周囲が木々に囲まれた建物に着いた。 「では。ごゆっくり」 と部屋の奥に2人分の荷物を置いた仲居さんが部屋を後にした。 「え・・・・っと・・・・1部屋ですか?」 「仕方ないだろ急な予約だったんだから。昨日も一緒に寝たんだから いいじゃん」 「それは・・・なんというか・・・事故のようなもので・・・」 「まあそれは後で聞くよ。2部屋あるから安心しろ。 ひとまず着替えて飯食いにいこう」 「はい。」 私は金井さんに案内された部屋でスーツを脱いだ。 もともと京都でのんびりしようと思ってたから私服は持ってきてるけど 金井さんってどんな感じの私服なんだろう。 適当に着替えて部屋を出ると。 「遅い!」 と腕を組んで金井さんが待っていた。 黒のパンツにジャケットでやっぱりカッコイイと思ってしまった。 「腹減ったからいくぞ!」 と私の腕を掴んで引っ張っていく。 金井さんはレンタカーを借りてくれていて、なんて準備がいいんだろうと関心してしまった。女性にもてるのが分かる気がした。 運転している金井さんの横顔もステキだった。 上司としか見ていなかったのに、昨日の事があってからなんか意識しちゃう。 お昼は和食を食べに行った。とても美味しかった。 「美味しかったですね!」 と声を掛けたら、優しい笑顔で私を見ていた。 「なんですか?」 「やっぱり佐伯は笑っていた方がかわいいなって思って」 「/////////からかわないでください」 「かわいいからかわいいっていってなにが悪いんだ?」 そんな顔は反則ーーーーー。 それから会社のみんなへのお土産を買いに行って、旅館に戻ってきた。 「風呂入るか!」 「そうですね。いってきます。」 「どこ行くんだよ。」 「お風呂ですよ?」 「風呂はそこにあるぞ」 「そこ??」 金井さんが扉を開けると、露天風呂が現れた。 「・・・・・・・・・・・・。」 「すごいだろ!こんな景色を見ながら風呂に入れるのは」 すごい・・・すごいけど・・・。 「扉閉めて入れば大丈夫だよ」 「金井さん先でいいですよ」 「じゃあ。遠慮なく。どっかいったりするなよな。もうすぐ晩飯くると 思うから」 「はい」 そういうと金井さんはその場で服を脱ぎ始めた。 「金井さん!!」 「俺は見られても平気だけど?」 「私が困ります。」 「はいはい。」 金井さんは扉を閉めた。 ドキドキが止まらない。 少しして部屋に料理が運ばれてきた。 「ステキな彼氏さんですね」 「彼氏・・・」 「食器は明日の朝に回収にくるようにとのことですので、ごゆっくり」 と仲居さんは部屋を出て行った。 目の前にはおいしそうな料理がたくさん並んでいる。 「美味しそうだなあ」 「ホントだな」 声の方に目を向けると、浴衣を着た金井さんがいた。 「佐伯も風呂行く?飯先にするか?」 迷うな・・・でも汗かいたしな・・・・。 「速攻でお風呂入ってきます。先に食べてていいですよ」 と告げると急いで着替えを持ってお風呂場に向かった。 お風呂は目の前に緑がいっぱいの露天風呂。 湯船につかりながら満喫した。 浴衣に着替えて食事のある部屋へ戻ると 食事に手を付けないで金井さんが待っててくれていた。 「先に食べてたんじゃないんですか?」 「せっかくだから好きな人と一緒に食いたいじゃん。  ビールだけ先に飲んだけどな」 カッコ良すぎますよ金井さん・・・。 「すみません。」 「なんで謝るんだ?」 「お腹すいてるはずなのに待たせちゃったし、お料理も少し冷めて しまいましたよね」 (佐伯はいつも相手の事を考えてるんだな。自分の言いたいことも我慢して 一生懸命に恋愛してたんだろうな・・・。かわいい) 「気にさせて悪かったな。でも佐伯は俺に先に食べてていいって言ってたろ? 俺が勝手に待ってただけなんだからいいじゃん。食べようぜ」 「はい・・・」 金井さん優しいなあ。年上の人だからかな・・・。 目の前にはいろんな料理があってどれも美味しかった。 「美味しかったー。お腹いっぱいですね」 「そうだな。佐伯はおいしそうに飯食うからこっちも楽しいよ」 「それって大食いってことですか?」 「違うよ。俺のまわりの女ってちょっとしか食べなくて平気で残すから 腹立つんだよな」 「金井さんの周りには線が細くてきれいな方ばっかりですもんね」 「嫌味な事をいうなあ」 「ホントのことですよ」 「佐伯はちゃんと最後まで食べてて見てて気持ちいいよ。」 「だって、お料理になるまでにどんだけの人の手間とか時間とか かかってると思ってるんですか?お肉にもお魚にも感謝しないと」 (こういうとこ更にかわいいーーー) 「ちょっと散歩しないか?」 「いいですよ。」 2人で外にでた。空には一面の星空と月がきれいだった。 「わーーーーキレイですね」 「ああ。来てよかったな」 「そうです・・・・」 ねと言い終わらないうちに、金井さんが私を抱きしめた。 「金井さ・・・ん?」 「悪い。佐伯が可愛すぎて・・・。ちょっとこのままでいいか?」 「は・・・い」 心臓・・・静かにしてーーーードキドキが聞こえちゃう? このドキドキって金井さん? 「金井さん・・ドキドキしてます?」 「してるよ。好きな子を抱きしめてるんだから」 「/////////」 金井さんは私を抱きしめていた手を緩めた。 そして私を見つめた。恥ずかしくて思わず目を反らしてしまった。 「佐伯ちゃんと聞いて?俺はお前の事が好きだ。 本当は嫌だが、あいつをまだ好きでもいいと思ってる。 俺と一緒にいながら忘れていってくれたらいい。そのために俺を利用 していい。佐伯が失恋して弱っているところにこんなことを言って 卑怯なことも分かってる。でも俺は佐伯を手に入れられるチャンスを 逃したくない。」 「金井さ・・・ん」 「佐伯・・・俺の方見て?」 と言われ佐伯さんの方に目を向ける。私は155cmで佐伯さんは185cm だから私は下から金井さんを見上た。 「佐伯奈央さん、僕はあなたが大好きです。僕とお付き合いしてください。」 金井さんは私の目を真っすぐに見て言ってくれた。 「私、金井さんを利用したりできません。たっくんと付き合ってる時は無理してばっかりで本当は女の人の存在ももしかしたらって思ってたりして・・・。 でも1人にもなりたくなくて・・・なんとなく一緒にいたのかもしれません。 金井さんに好きって言ってもらえるような女じゃないんです。」 あまりにも金井さんが優しい顔で私もみてるから、涙がでてきた・・・・ 「すみません・・泣くのずるい・・・私が自分の気持ちとかわがままとか 言えてたら・・・」 「うん。俺にはわがままいったらいいよ。佐伯の気持ちもいっぱい聞かせてよ。俺も言うから聞いてよ。でいっぱい喧嘩して喧嘩するたびに仲直りしようよ。」 目の前でふられた私になんてステキな言葉をくれるの? 私は涙が止まらなくて下を向いてしまった。 金井さんはしゃがんで私の顔をしたから覗き込んだ。 「佐伯・・俺の愛の告白の答えは?」 「だ・・・って・・・私・・別れたばっかり・・・」 「それは分かってるって・・・そんなのはどうでもいいの。 佐伯は俺のことどう思ってるか教えて?」 「今日・・一緒にいて・・楽しかった・・です。金井さんといると ドキドキしてる自分がいて・・・でも・・・こんなすぐに・・・」 「だからそこはいいの!もう恥ずかしいんだからこれで最後な。  佐伯奈央さん、僕とお付き合いしてください。返事は?」 「は・・い」 「ホントに?」 「はい」 「マジで?」 「はい」 「やったーー!」 と金井さんは立ち上がってガッツポーズした。 「くしゅん」 「悪い。風が冷たくなってきたな。中に入ろう。」 「はい」 と2人で部屋に戻った。 「風呂入りなおすか?」 「いえ大丈夫です。」 「飲みなおすか?」 「そうですね」 金井さんはビールを、私はお湯割りを飲んでいると、 「佐伯・・・敬語やめていこうな」 「でも・・仕事でついでちゃいそうです。」 「俺はオープンにしたっていいよ」 「それは・・・」 金井さんファンに殺されたくないよーーーー。 (佐伯、またなんか考えてるなーーーー) 「奈央?」 「へ?」 「奈央って呼んでもいい?」 「いい・・ですよ?」 「俺は諒ね」 「諒・さ・・ん」 (かわいいなあああ。) 「しょうがないなあ。そのうち名前で呼んでくれよな」 「がんばります」 「俺さ、結構テンション上がってる。今だって押し倒したいくらい」 「え?」 「でも今日の今日だと嫌われたら困るから我慢する。 今日は一緒に寝るのは許して欲しい。ダメか?」 そんな子犬のような目で・・・ずるいよ・・・。 「何もしませんか?」 「しない・・・今日は・・・・」 「・・・じゃあ、いいですよ。」 それから先に金井さんが部屋に行った後にその部屋にいくと、 ダブルのベットが2つあった。もしかして・・・・最初から寝るのは この部屋しかなかった???でもまあいっかと思う自分がいる。 「奈央おいで」 金井さんが自分の横をポンポンとたたいて私を呼ぶ。 私は 「おじゃましまーす」 とベットの端っこに金井さんに背を向けて寝た。 そしたら金井さんが後ろから抱きしめてきた。 「ひゃー」 「何ひゃーって。奈央温かい」 「金井さん・・・ドキドキして寝れないです。」 「・・・・金井さん?」 「奈央。俺の名前は?」 あーーーーそういう事か・・・。 「諒さん・・」 「はい正解!この前もそうなんだけど、いつも寝れないんだけど 奈央と一緒に寝た時ぐっすり寝れたんだよ。俺が寝るまでちょっと 我慢して?寝たらきっとドキドキは止まるだろ?」 といろいろ話をしていたら・・・いつの間にか声が聞こえなくなって 背中から寝息が聞こえてきた。振り向くと金井さんは眠っていた。 「いつも忙しいんだろうな・・・今日だってせっかくのお休みだったのに ありがとうございます。諒さん」 いろいろなことがあった2日間だった。 これから金井さんとの日々がどうなっていくのかな・・・・。
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