オマケ とある一日

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〜 ボリス 視点 〜 犬好きの拓海(たくみ)の為に、散歩したりする時はイッヌのフリをして過ごす事に決めた 人間の時に散歩をしたこともあるが、只の老後の夫婦みたいな雰囲気があった為に、それだと詰まらなくて、仕方なくイッヌでいてやる 楽しそうな拓海を見てると、俺まで嬉しいから人前ぐらいはイッヌでいてやるさ 拓海が新しい犬を飼わないよう、って感じだったんだが…… 俺の目の前には芋虫のように動くしか出来ない、どこのメス犬の子供か分からないイッヌがいる 「 連れて帰ったのかよ!!? 」 「 ミルク飲みだ。それしか方法がないだろ。というか、御前が見つけたんだろ 」 「 確かに見つけたのは俺だけどさ……。あのヤブ医者に渡せばよかったろ 」  イッヌを飼わせないようにしてたのに、我が家にイッヌがやって来た 拓海が手をかけそうなミルク飲みときた、これは一大事!! 確かに俺が、匂いに気づいて見つけたけど、それはあの車に乗ってた女に返す気でいたからだ 拓海以外の人間の前では喋らない気でいた為に、言えなかったけどな! 「 そんなに嫌なら里親を探すさ。目が開いた頃にな 」 仔犬の為に準備をしてる拓海の背中を見てペタリと後ろへと耳が下がる 「 だが、俺は仕事で普段家に居ない。ミルクの作り方を教えるから、御前が日頃、世話してくれ 」 「 はぁ!?嫌だわ、俺…お腹痛いし 」 「 アイス2つ食ったからだろ…… 」 「 いや、朝からずっと痛いんだよ!これでも我慢してやってるけどな! 」 腹の違和感にずっと気になって、腰辺りも痛い為にふてぶてとしていれば、何を思ったのか拓海は手を止めれば、俺の方へとやってきた 「 な、なんだよ! 」 「 最近、少し太くなったと思ったが……見せてみろ 」 「 な、デブとか言うんじゃねぇ!セーフだ!セーフ! 」 ジョギングダイエットしてるのに、その分のカロリーをコンビニのおやつで無くしてるとか言われるかもしれないが、あんなおやつのカロリーぐらい、この代謝のいい俺には関係ない 太ってないと言っては、近付いてくる拓海から逃げる 「 逃げるな! 」 「 いっ!尻尾はデリケートなんだぞ!! 」 背を向けた瞬間に、掴まれた尻尾に驚いて牙を剥き出し怒っても、拓海は気にもせず俺の身体を手元へと寄せ、片手を腹へと滑らせた 「 っ…… 」 弱点である腹を触られて嫌だが、下痢してる時に腹を撫でて貰ってる時のように心地いいものがある 「 んー……? 」 「 俺、すげぇ硬い便でもある? 」 「 家に帰ってから出たか? 」 「 寝起きに直ぐに 」 「 んじゃ、違うだろ 」 違うと言われて安心するが、腹の下辺りやらその付近を撫でてる拓海に心地良さに負けて、身体を横たわらせて仰向けになれば、彼は撫でる手を止めない 「 じゃ、シコリだな。俺はもう癌で死ぬんだ…… 」 「 もしそうなら手術させるさ 」 あのヤブ医者の元で手術は嫌だから、そのときは人間の病院…なんて思っても 弱ってる時は獣の姿になりやすいから……と考えたら、獣の時間でいる時の方が長い気がして、ぐでっと頭を床へと付けた 「 俺…弱ってんだ。あぁ、そうだ…なんか最近疲れるのが早いと思ったら、弱ってるわ……死にそう 」 「 そんな事は……そうなのか? 」 否定しかけた彼だが、俺は目線を明日の方向へと向けては答えた 「 俺達、大神族の寿命は平均八十年ほど。俺は今年で五歳になる。もう、死ぬな 」 「 それを聞いて凄く安心した。まだこれからじゃないか 」 「 シコリが出来て、体力無くて、お腹空きまくるのに、全然…拓海が一缶三百円の高級犬缶を食べさせてくれなかったらゲソっと…… 」 してはないけど、あの高級缶がピタリと食べさせてもらえないことに、俺はショックで仕方ない 「( 病院からの缶は、体重が戻ったから必要なかったんだが…そんなにあれが気に入ったのか )」 耳を下げていればお腹を撫でていた拓海はその手を止めては立ち上がった 「 あ、ちょっ、撫でるの終わりかよ!? 」 「 チビにミルクやるんだ 」 「 ………… 」 ずっと一緒にいる俺ではなく、チビなのか ミルクの準備をした拓海をジト見した後に、腹の辺りを舐めては、重い身体を起こし 子犬を抱き、胡座をかいてミルクを飲ませ始めた、その横へと座り、見詰めた 「 そのもーもーミルク美味しいのか? 」 「 飲んでみるか?牛のミルクではないが 」 「 おう!! 」 チュパチュパと子犬がミルクを飲んでいれば、拓海はタオルで哺乳瓶の位置を固定したあとに、お皿に粉ミルクを入れ湯で溶かしてから俺の前へと置いた 「 ほら、物好きだな 」 「 おー、いい匂い!いただきます! 」 クンクンと匂いでから舌先で舐めては、持ち上がる時に落ちる僅かな滴を舐めながら全てを飲み干して、皿を綺麗に舐めては拓海の元へ戻る 「 あれ、俺のご飯の中に混ぜてー! 」 「 カロリー高くなるだろ。粉ミルクってのは…… 」 「 チェッ……。俺の身体が高カロリーを欲していたのに…… 」 残念だと思って子犬を持つ拓海の太腿へと顎を乗せては、存在だけはアピールする 彼はタオルで子犬を包んだまま股の間に置き、反対の手で俺の額から首後ろにかけて撫でてくる 触られることは慣れた為に嫌ではなく、緩く尻尾を振りその時間を満喫し、いつの間にか眠りに落ちていた 拓海、俺が一番にしてくれ 犬が飼いたいなら、イッヌでいてやるから 俺を構ってくれよな!!
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