オマケ とある一日

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〜 犬塚 視点 〜 明らかに普段よりベッタリと側にいることに、小さな子犬にヤキモチを妬いてるのを見て、 正直…かなり喜んでる自分がいることが、気持ち悪いと自覚していた ニヤけそうな口を必死に閉じては、太腿の上に顎を乗せて眠っているボリスを撫でていれば、さっき触った部分が気になり、 起こさないよう、太腿の位置はずらさず、上半身だけを動かしては手を伸ばして、腹へと触れた 昨夜、イチャついてる時は少し肉付きが良くなったと思っていたんだが…… 狼の姿で、改めて腹を触ると、筋肉質な身体には似合わない程に、その部分だけが膨れている 便か、癌を疑ったが、そんな気はしない為に、軽く触った後にスマホを取り出し、犬の腹の膨らみについて検索をした 「 妊娠……? 」 一番最初に出て来るのは妊娠についての文字 膨らみが分かる頃にはそれなりの日付が経過してるらしいが、ボリスには横腹までくっきりわかる程ではない 狼の毛並みのせいかもしれないが、触れば分かる範囲の為に、調べを続けていた 「 子供の頭数が少なければ、それだけ目立たない?だが、俺はαではないんだが……他のオスか? 」 その可能性に、少しだけボリスの方を見詰めた 俺が仕事に行ってる間は、バイトを辞めたコイツはいつも家の中にいる お小遣いや合鍵を渡してるから、人間の姿で遊びに出掛けてる時は良くあるらしく、その事については何も言ってない だが、もし……外にαのオスがいて、ボリスが交尾をしていたなら…… ゙ 知らないオスの子なんて…! ゙ 朝に、嫌な事を聞いたせいで酷く頭を過る 「 ボリス……。御前がもし、望まぬ交尾をされて、出来た子でも…俺は御前共に愛せるからな… 」 捨てる事はしないし、里親を探すことも無く、此処で暮せばいい 眠ってるボリスの首元へと顔を埋めて全身を撫でていれば、インターホンは鳴った 「 嗚呼、猫澤(ねこざわ)……。よく来てくれた 」 「 いえ、休日なので。お邪魔します 」 玄関を開ければ子犬の事で話をしたかった、秘書の猫澤がやってくれば、早々に部屋へと通した 人が来た事でボリスはグッと背伸びをして、起き上がればのそのそとゆっくりと歩いては、リビングに入る彼の前へと行く 「 やぁ、ボリスくん。久しぶりですね。毛並みの艶も良くなって、元気そうでなによりです 」 「( めちゃくちゃ猫の匂いがする……。日向みたいな人だな )」 きっと別のことを考えてるボリスは、しゃがみ込んで手を差し出した猫澤の手の平の匂いを嗅いでは、服やら匂った後に、頬へと鼻先を当てる 「 フフッ、猫派ですが、ボリスくんを見てると犬も悪くないですね 」 首周りの飾り気を両手で撫でては、動物の扱いが上手いボリスの身体を撫で回して、腰から尻尾の付け根に触れたのに合わせ、ボリスもまた背を行け尾を揺らした 「( おー、そこそこ!腰いかったんだよなー! )」 「 猫同様にお尻が好きですね 」 ポンポンと撫でてから猫澤は脚の付け根の方へと手を滑らせる 人馴れしてる事に何思わないが、少しモヤっとするな…… もう少し、俺以外は……と思っていれば猫澤は何かに気付いたのか、首を傾げた 「 あれ? 」 「 どうした? 」 「 ボリスくんってオスですよね? 」 「 ………まぁ 」 どうだったか?と誤魔化せない質問に目線を外していれば、彼は身体を撫でては俺の方へと顔を向けた 「 乳首の周りの毛がないですし、お腹の腫れが…(野良の)メス猫が妊娠したときによく似てるんですが 」 「 やっぱり、そうなのか? 」 「 ボリスくん、オスですよね?あ、でも……ライオンでもオスみたいな外見のメスはいるらしいからあり得るのでしょうか 」 もう一度、確認の為に触った猫澤をよそにボリスは触り方が良かったのか横たわって腹を出していた 周りの毛でわからないが、少し毛並みを寄せれば確かに乳首の周りの毛は失っている 「 やっぱりこの膨らみは妊娠してるのか…… 」 「 それも、恐らく臨月ですよ。膨らみが下側にありますので…… 」 「 !!?? 」 妊娠発覚したその日に臨月とは知らなかったが、ボリスは少しして獣の痛がるような声を上げ始めた 「 クゥーン!クゥーン!( やべぇ、腹痛え!!マジでいてぇ!! )」 その痛むのが嫌なのか、しつこく腹辺りへと顔を向けたり、カーペットを掘り返そうとするのを見て、俺と猫澤は直ぐにその準備をした 子犬は定期的にミルクを上げるが、先にボリスの方を優先する そして、ボリスの落ち着きが無くなって六時間後 夜の八時頃に、ボリスの腹には一匹の子犬がいた 「( チビが増えたぁぁあ!!?どういうこと!? )」 パニックになってるように目をキョトンとしてるボリスは子犬を舐めることもなく腹を探る子犬に硬直しては、俺よりテキパキと子犬を拭いた猫澤は、子犬を乳の方へと向ける 「 ボリスちゃんなのか分からなくなりましたが……ほら、飲ませて上げてください。最初の乳は大事ですから 」 猫澤曰く、母乳は出るらしいとのこと ボリスはカタカタと震えているが、子犬が乳を探り、吸い付いたのかガハッと起き上がった 「 グルルル…( 変な感じする! )」 嫌がるボリスは自分で産んだにも関わらず拒絶したように、毛布から離れては唸りながら、子犬を睨み、しまいには牙を剥き上げる 「( なんで、チビが増えてんだよ!!俺は、他のオスとヤッねぇし!!俺の子じゃない!! )」 明らかに何かを訴えかけてることに、俺は猫澤に子犬を頼んでから、ボリスの首輪を掴み、リビングから出して、他の部屋へと入る 「 ボリス、落ち着け。御前の子だ。腹を痛めて産んだじゃないか 」 六時間の陣痛に耐えてから産んだ子だと、俺も猫澤も知っている だからこそ、毛を逆立てて呼吸の荒いボリスの顔を自分の方へと向ければ、やっと俺の方を見ては、声を出した 「 俺は…浮気なんて…してない!本当だ、そりゃ元バイト仲間とゲームセンターとか行ったし、タピオカとか飲んだけど……ヤッてない!俺は、拓海以外と交尾してないんだ!!信じてくれ!! 」 ボリスの姿は人へと変わり、乱れたジャケットから下を見れば、ズボンの履いてない彼の太腿は出産後を思わせるほどに血で濡れていた 子犬は拭いたが、拭き忘れていた為に生々しい血に眉を寄せ、俺の服を必死に掴む彼の身体を抱き締めた 「 嗚呼…信じるさ。信じてるから、子には母乳を与えてくれ。違和感あるだろうが…頑張れ 」 「 っ、…… 」 俺が少しでも疑ったのが間違いだった コイツは、ずっと俺だけを好きでいてくれている そうだな、他のオスとするわけ…… 「 社長、ボリスくん落ち着きました……って…… 」 開いた扉に驚けば、ボリスも泣いていて間に合わなかったのか、獣の耳と尻尾を出してる後に、何事もないように狼の姿へと変わった 遅い……変化が遅かった……
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