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「それで私は何したらいいですか?」
「とりあえずウェイターをしてもらいながら、お客さんの様子を見ていこうか」
まだお客さんは少ないし、どちらかというとお酒を飲みに来たプレイヤーというか、既存のジョブが多い。
当たりが出るまでは小遣い稼ぎでもしながら見守るとしよう。
「店員さーんこっちこっちー」
「はーい、今行きまーす♪」
ノリが軽めではあるがてきぱきとそつ無く仕事をこなしている。
「すいませんこっちも唐揚げください」
カウンターのお客さんから注文を受ける。
むしろ僕の方が間に合ってない。
「少々お待ちをー」
「慌てなくて大丈夫ですよー、店長さんも新店舗構えて大変ですね」
「いやいや、前々から店を構えたくてうずうずしてたんです」
という建前ではあるが、会話を円滑にこなすには適度な嘘を織り交ぜた方が楽だ。
「そういえば聞きました? なんでも最近、プレイヤー狩りとか言うのが行われてるらしくて」
「プレイヤー狩りですか……」
突然の物騒な話。
少しタイミングが良すぎるが、それ以上に怪しい。
「なんでも見たこともないようなスキルを使うらしくて」
「というと?」
「たしか黒煙でプレイヤーを包み込んで、黒煙が晴れる頃にはプレイヤーは倒れてるとか、細かい部分はわからないみたいですけど」
黒煙、闇魔法にも聞こえてしまうが、そんなエフェクトの魔法は今のところ存在しない。
「店長……」
「うん、当たりかもしれないね」
耳打ちしてきたウララさんに相槌をうって、更に話を深堀りしていく。
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