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プレイヤーは情報画面でイベントや通知、地図などを確認できるが、僕達サービス側にも同機能が与えられている。
その中にはプレイヤーの総合的な情報から、自身のエリアの局所的な情報も閲覧できる。
「さてと、モンスターの再配置は済ませたけど、まだ2時間か」
作業への集中力が切れたので、王都情報を開く。
「クエスト受注は現在126名、山岳エリアは41名か」
山岳エリアの隅である荒城は、モンスターのレベルも初期プレイヤーには高く入ってくることはそうないだろうけど、万一来ないとも限らない。
ピコンッ。
サービス側から山岳エリアへの通知が表示された。
「なになに?」
『ジョブ「英傑」に選ばれた唯一のプレイヤーが山岳エリアに入りました』
「こういうのも表示されるのか、なんというかプレイヤー気分だな」
しかし英傑とはどのようなジョブだったかな。
たしか初期で得られるジョブのうち、レアジョブに含まれていたはず。
勇者、英傑、大魔術師の3大レアジョブはそれぞれが1000分の1程度の確率で付与されるはず。
「現在プレイヤーは1250人、英傑が1人、大魔術師が1人、勇者はまだいないのか」
『英傑、プレイヤー名「ラフィリア」がモンスター討伐100匹を達成しました』
「早いな、かなりMMORPGをやり慣れているのかな」
これはクエストついでにここまで来る可能性もある。
こちらもただで負けてレアアイテムを献上するのは頂けない。
「対策を立てるとすると、英傑のスキルを理解しなきゃな」
僕は情報画面からジョブ情報を開き、英傑の情報を閲覧する。
『英傑はソロ戦闘に長けたスキルを多く有する、特に「ストームスラッシュ」は無尽蔵な斬撃でモンスターを蹂躙するチートスキルである』
「説明にチートとか入れるなよ」
英傑はなんとなくだが理解したし、モニタリングして観察も可能である。
もう1つ先にしておくのは自身のステータス、スキル確認。
「ステータス、ON」
僕の目の前にステータスが表示される。
僕達サービス側にもジョブは与えられており、プレイヤーに明かされないが、これから先、プレイヤーに解放されるジョブなどもある。
「僕はスペアランサー、目まぐるしい数の槍を操作する魔法系近中距離戦闘員。 魔法も多少はいけるか、STR、AGIが高いな」
STRは攻撃力などの総称。
AGIは素早さなどの総称。
他にVITという防御力もある。
他にも細かいものはあるが、ひとまず攻撃と素早さに特化したシンプルな戦闘タイプ。
「スキルは……んっ?」
サービス開始前に1度見たスキルが幾つかあるが、1つ見覚えのないスキルがあった。
「エクストラスキル、悪なき執念……? こんなのあったかな?」
このスキルが波乱を起こすきっかけになることを僕は理解していなかった。
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