5.三枝君が王子たる所以 side K

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* 「俺ダメなの、恋愛とか全く興味ないしキライなの。だからご期待に沿えるようなことは何もないな。あー、吉川に聞いてみて? 笑うから」  言葉は柔らかいけれど、相当不機嫌になっている三枝君の姿を、直視できなかった。 「ほらね。怒られた」 「怒られてません。っていうか三枝さんはいつもああです。私空気読めなくて」 「だから言ったのに」 「あーー、やばい、また軽率なことしちゃったー。謝りたいけどもうしばらく話し掛けられない」  失敗しちゃったのはいいが、私にまでダメージを与えてくれるな。 分かっていることをはっきり言われるのも、イヤなものなのだよ。  電話でもいいから、一言謝りたくて仕方が無かった。三枝君にとっては、それすらウンザリなのかもしれない。嫌われる一方かもしれない。 「三枝君? 今大丈夫?」 「はい、どうした? 何かあった?」 「何かあったでしょ? 今日昼間」 「……ああ」 「ものすごくイヤそうなのわかったから……ごめん、私のせいで」 「久住のせいじゃないでしょ」 「どうしてそんなに女性嫌いになっちゃったの?」 「……嫌いじゃ、ないよ」 「そう? ほんとに?」 「うん」 「音山さんも、悪い人じゃないよ? 三枝君に軽率にあんなこと聞いて、悪いことしたって反省してた」 「あーそう。別にいいけど」 「……いやな思いもいっぱいしたのかもしれないけど、大丈夫だよ。きっと、三枝君にもいいことある。そういうのってご縁だしさ」 「ああ、そうだな」 「じゃあ、切ります……」 「ありがとう」 「え?」 「電話、ありがとう」 「……」
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