最終章 二人のキーノート

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 笑顔で、わざと改まった言い方をする何も知らない浩己さんを見て、あちゃーという感じ。 「浩己さん、あの実は……」 「うん?」 「少し前から、おつき合いしてます。その、椿さんと」 「え? 椿ちゃんが、千諒君と?」 「はい」  さすがに驚いたらしく、前のめりになっていた姿勢を戻し、椅子の背もたれに身体をあずけた。 「いやまたそれはそれは、驚きだな。ここで働いている話聞いたばかりなのに。どういうご縁なの」 「小中の同級生なんですよ。たまたま再会して、ここで働いてもらう事になったので」 「椿ちゃんか、言われてみると納得の二人だね。変わってるでしょ、あの人。なんかさ、休みの日はいつも絵描いてるよな」 「ああ、それはもう……描いてますね、それか写真か」  あれから二か月が過ぎた。
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