最終章 二人のキーノート

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「えっと、それで、たまたま姉の友人が私と会ってみたいと前から。だから今日は断ることできずに食事をしてきました。それだけ」 「煙草はそいつか」 「いや、多分周りに居たのかな、吸ってる人。気づかなかった」 「俺が一生懸命働いている時に」 「な、そんな……。だけど私だって、ただボンヤリしていたらあっという間に歳を取るんだから、出会う努力くらいしなくちゃって、そう思ったんだけどさ。そう思えば思うほど、三枝君の事を思い出してしまって、気付いたらここに」 「……」  たしかにめちゃくちゃ女の顔。 今まで一度たりとも見たことが無かった。 可愛くて、そういう事なら許すと思いながら、また顔をぐりぐりする。 「……あのさ、もうさっきからなんかちょいちょいおかしいんだけど、これまでそんな素振り一度だって感じたこと無いんですけど。これ、私が鈍いからって事でもないと思いますが?」 「仕方ない。さっき気付いた」 「さっきって」 「それで返事は?」 「へんじ」 「会いたかったでしょ? 俺に」 「……」 「俺は会いたかったよ。何度も顔がチラつくくらい」 「うう……よくそういう台詞を真顔で平気で言える……」 「それで? どう思ってるの?」
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