2211人が本棚に入れています
本棚に追加
「……私も、会えなくて淋しかった」
頬をピンクに染めているくせに目も合わせない様子にグッときて、もう一度抱きしめた。
……厚着し過ぎ。
翌日は休みだし、少しでも一緒に過ごせるのかなとは思ったけれど、
「あっ、私 今ダメなんだ!」
突然、久住が心の声を叫んだため、結局吹き出す羽目に。
月のものでそれどころではない為、一緒には居られないと言い出した。いやいや、期待しないわけではないが、そういう事ではない。
ピンクどころか完全に真っ赤になり、オフィスから逃げ出そうとする久住をなんとか捕獲し、アパートまで送った。
体調を考え、一緒に居たいのを我慢する。
「明日、元気だったら電話ちょうだい?」
「……うん」
いい歳の大人なので、いろいろ我慢くらいできます。こういう時くらいは、女性は自宅で一人ゆっくり休むのが良いのだろうと、無理やり納得する。
だけど部屋の明かりが点いて、久住がベランダから手を振る姿を見た時、直ぐに後悔した。
具合が悪かろうがなかろうが、完全に俺の我儘になるが、傍に居たかったと。
最初のコメントを投稿しよう!