拾ってください。

『拾ってください。』

そう書かれた段ボールは人通りの多い街に置かれていた。

はぁ、全く酷いよ皆。
段ボールに私が捨てられているのに誰も拾ってくれないなんて。
同じ人間でしょ？
突然外に出れたと思ったら、お母さんに段ボールに入れられて捨てられるなんて。
段ボールで捨てられる子もいるって噂では聞いてたけど、まさか私が捨てられるなんて思ってもいなかったよ。
あんなに仲良かったのに。
おやつ勝手に食べたのが原因なのかな。
皆こっちは見るのに誰も拾ってくれない。

私の意見なしで捨ててお母さんは冷たいな。
私お母さんの子供なのに。

「あっ！お母さんこの子捨てられてて可哀想。」
「本当だね。拾ってあげようか。」
「お母さん!私育てる!」
「まずは病院に連れていかないとね。」
「猫ちゃん一緒に行こっか!」

そうか…。
私てっきり人間だと思ってたけど、猫だったんだ…。