5人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
私は、自分の人生が嫌いです。中でも一番嫌いなのは、高校から家までの帰り時間です。
嘗ては、一番好きな時間でした。親に行動を管理されている私にとって、唯一の自由時間だったからです。
それなのに――。
俯いて歩くようになり、どのくらいが経つでしょうか。形のない気配に、全身が恐怖を感じています。
様子を変えないよう背後に視線を流しますが、やはり誰もいませんでした。
まだ明るいはずの夏の夕暮れが、周囲を囲む爽やかなはずの森林が、いやに恐ろしく感じます。
家が遠く、気の弱さが原因で友人もいない私は、中学の時から一人で帰宅していました。不安だったのは最初だけで、人通りのない道もお手の物でした。
その頃は、まさか自分が……と安易に考えていたんです。
まさか自分がストーカーされるなんて、と。
私は今、ストーカーに付き纏われています。最初は気のせいだと言い聞かせ、恐怖を遠ざけていました。
しかし、約一ヶ月前、実際に背後から体を触られたことで確信に変わりました。
その日は逃亡し事なきを得ましたが、以降落ち着いて歩けなくなりました。加えて、そんな状態でも感情の閉じ込め癖が祟り、誰かに相談することさえ出来ませんでした。
脳内では、襲われた上で殺される姿まで見えているのに。想像が勝手に溢れて止まないのに。
どうか、誰か。こんな私を助けて。心の中で希い、恐怖に潰されないよう今日も耐えました。
最初のコメントを投稿しよう!