後日談 ベルによる王への報復

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後日談 ベルによる王への報復

ジンさんへの報復が大失敗に終わり、リベンジに燃えつつ虎視眈々と隙をあら探しするベルの元へ、すっかり疎遠となっていたシャルリーナの姉が訪れた。 ベルの正体がザハルにバレた今、もう姉妹ごっこは終わったはずである。 「何よその目は……私だって貴女に感謝しているのよ。お礼に来てもいいじゃない」 「そうですか。わざわざありがとうございます。確かに受け取りました。お帰りはあちらです」 「ちょっと! 酷いじゃないの! 大切な話しだってあるのよ」 「それは、妹であるシャルリーナ様の行方についてですよね」 無表情で貰うものだけ貰ったベルは悪くない。 あれほど無理難題を言われ、馬車馬のように働かされ、凡庸だ貧乳だと蔑まれつつ頑張っていたのは自分の命の為である。 それが、まさか計画通りだったことを知ったのは、つい最近の話しだった。 「……誰に聞いたの」 「直接は伺っておりません」 アーデル公爵様と夫人の密談を盗み聞きしただけである。 『王がシャルリーナを召したいと仰った時はどうしようかと思っていた。新婚早々シャルリーナを愛妾にされては、こちらの計画に差し障りがある。運良くザハルがベルと婚姻を結んだおかげで、クソ女も追い出せ王にも感謝された。ベルはまさに我が家の女神だな』 『ええ。上手くいって本当に良かったわ』 なんですと? 最初聞いた時は耳がおかしくなったかと思った。 しかし、続く内容に怒りでどうにかなりそうになったのだ。 「貴女が絵を描いたらしいですね」 「はあ、仕方ないわね。そこまで知っているならぶっちゃけるわ。ええそうよ。夜会でシャルを見染めた王が私に相談して、私がアーデル公爵様にシャル出奔の話しをしたの。シャルは、あの子も好きだったみたいでね。違う方に嫁いで出向くより、真っさらな状態で嫁ぎたかったらしいのよ。でもまさか、当日に貴女が来るとは思わないじゃない」 「そこはいいんです。私の運の無さなので。でも隠す必要はなかったでしょう」 あれだけシャルリーナ様の名誉に固執していたのに、当の本人は望んで王の愛妾だなんて。初めからそれを隠してなければ、女狐によってシャルリーナ様が世で貶されることはなかったはずだ。 「ごめんなさいね。隠す方が都合が良かったのよ」 「そうですね。花嫁に逃げられた汚名を被らなかった公爵家、その花嫁を横からぶんどった王様、わがままな妹の願いを叶えた貴女は、脅すだけで何でもする平民を利用した」 「でも結果、貴族になれたじゃない」 「それは結果論です。おかしいと思ってたんですよ。行方知れずの妹を心配する素振りのない貴女の態度に。当時まだ王子だったけど王様に泣きつけなど、臣下である貴女が事もなげに言ったことも」 「……だいぶ怒っているようね」 「当たり前ですよ!」 皆して私を騙していた。私とザハルを。 ザハルは女狐にイカれていたから、王様の愛妾が誰になろうが気にも留めてなかっただろう。 王様が、すまんクレ、と言えばシャルリーナ様を差し出していたはずだ。 アーデル公爵家の問題なんて、そもそもシャルリーナ様に何の関係もない話しである。私が女狐追い出し要員となる義理もなかったのに、程よく扱われてしまったのだ。 つくづく運がない。 この怒りを王様とシャルリーナ様にぶつけなきゃ気がすまなかった。死にたくはないけれど。
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