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第1回 ミッドナイト・ラン
1988年・アメリカ映画
監督:マーティン・ブレスト
脚本:ジョージ・ギャロ
出演:ロバート・デ・ニーロ/チャールズ・グローディン/ヤフェット・コットー/ジョン・アシュトン/デニス・ファリーナ/ジョー・パントリアーノ 他
<STORY>
元警官で賞金稼ぎのジャックは逃亡中の被告人を公判までに連れ戻す仕事についていた。彼が新たに引き受けたのはシカゴの麻薬王から金を横領したマーデュカスを見つける事だった。手際良くマーデュカスを捕まえたのはいいものの、麻薬王の思わぬ妨害など予想外のトラブルに見舞われ、容易ならぬ旅をする事に・・・。
<感想>
当時すでに二度のアカデミー賞受賞という輝かしい功績を持つ大物俳優、デ・ニーロ主演のアクション・コメディ。下手な監督が演出するとデ・ニーロを持て余すところですが、マーティン・ブレスト監督は巧くコントロール。決して暴走させることなく、かといって抑え過ぎる事もない絶妙なバランス感覚で演出してます。ブレスト監督は他に『ビバリーヒルズ・コップ』『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』を担当してますが、いずれも面白い。本作が今もなお高く評価されるのはブレスト監督によるところが大きいでしょうね。
もう1つの勝因はデ・ニーロオンリーの映画にせず、多彩な俳優を揃えた事。デ・ニーロと共に旅をする横領犯のデュークにチャールズ・グローディンを据えたのはよかった。当時でもデ・ニーロに匹敵しうる俳優を探すというのはなかなか苦労したでしょう。今だったら知名度優先でキャスティングされそうな役柄ですが、監督らはあくまで作品にマッチするコメディセンスのある俳優を起用。その結果は見ての通り。アクの強いデ・ニーロの怪演を真っ向から受け止めてそれを跳ね返すグローディンの演技力には脱帽です。その他の共演陣もヤフェット・コットー、ジョン・アシュトン、デニス・ファリーナとそれぞれが際立っていて、デ・ニーロだけの映画になってない。
シナリオが出来た時点ではジョン・アシュトン演じるマーヴィンは最後に殺される予定だったけど、作品のカラーに合わないとして監督が生かす展開に変更したそうで。これはいい選択だったと思います。今だとタランティーノとかがやったら意味なくマーヴィン殺しそうだしなぁ。あ、決してタランティーノがダメって言いたいわけじゃないんです(笑)それまでのコメディタッチを完全に崩壊させるから、マーヴィンを生かしたブレスト監督の嗅覚はやはりお見事と言わざるを得ません。
ラストのあっさりとした別れのシーンも秀逸で、このふたりは絶対に再会する事はないし、しちゃいけないんだなっていうのが分かります。文句なしの5点満点!!
★★★★★(5点)
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