第3回 エンゼル・ハート

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第3回 エンゼル・ハート

6337859d-1958-4acf-8f98-b6faeff25007 1987年・アメリカ映画 監督・脚本:アラン・パーカー 原作:ウィリアム・ヒョーツバーグ『堕ちる天使』 出演:ミッキー・ローク/ロバート・デ・ニーロ/シャーロット・ランプリング/リサ・ボネット 他 <STORY> 1955年のニューヨーク。私立探偵のハリーはルイスと名乗る男から行方不明になった歌手ジョニー・フェイバリットの消息を突き止めて欲しいという依頼を受ける。ジョニーが入院していたとされる病院の記録を調べるも、既に退院し、その先は分からない。ジョニーの担当医や付き合っていた恋人などをあたってみるもハリーと接触した直後に彼らは殺されていく。 <感想> アラン・パーカーがホラー映画に挑戦したらこうなりました、といったところでしょうか。そんじょそこらのB級監督と違って、退廃的な映像美の見せ方はさすが一流監督。 しかし難を言えばあまりに真面目に演出してるので、この映画をミステリーだと誤解して観る人が多く散見された事。自分の体験になりますけど、この映画を会社の知り合いに勧めたら途中までは結構ハマってくれたんですけど、ラストでキレてましたからね(笑) パーカー本人からしたらハナからこの映画をミステリーとしては撮ってなかったんでしょう。冒頭に結構真相に関するヒントをばらまきまくってるし、分かる人は開始数分で分かる様には出来てます。けど、作品の雰囲気がホラーというよりハードボイルドミステリーなので、勘違いしてしまうヒトもいるでしょう。おまけに主演のミッキー・ロークに加えて共演陣にデ・ニーロやシャーロット・ランプリングといった演技派の名優が顔を揃えてたら、ホラー映画だと思って観るヒトは少ないでしょうね。 いっそのこと、冒頭からCG満載にしてハッキリと「この映画はホラーですよ」って宣言した方が良かったかも・・・・・と言いたいところですが、そんなことしたらこの映画は20年以上経った今でもここまで評価される事はなかったでしょう。だからこれでいいんですよ! 特筆すべきは主演のミッキー・ロークの渋さ。デ・ニーロやランプリングを相手に全くひけをとらない演技を見せています。本作を観てるとやっぱりロークの全盛期は80年代だなと思いますね。 低迷した90年代、再評価される様になった2000年代のロークも良いんですが、80年代のロークの魅力は唯一無二じゃないですか。それをロークは自分でふいにしてしまったんだから、非常に惜しい事をしちゃったなぁとファンとしては思います。本人も「反省してる」とインタビューで言ってますし責めちゃいけないとも思いますが。 ロークの作品を殆ど観てる(多分)と自負する立場から言わせてもらうと、ロークは良くも悪くもナルシストです(笑)ええかっこしすぎなところがあります。でも、役者というのはスクリーンや舞台で多くの観客に自分をさらけ出すのが仕事だから、ある程度の「ええかっこしい」な要素は必要だと思います。ロークの様に「俺ってかっこいいべ?」って演技してる人の方が僕は潔くて好きですね(笑) プライベートとかインタビューとかで行儀よくしてる俳優を見てると、それがダメとは言わないですけど、「本当なのかな?」って思っちゃいますね(笑)批判めいた事言っちゃって申し訳ないです。 本作でロークは私立探偵を演じています。探偵といえば調査対象を尾行したり調べたりしますが、映画だと大体探偵はひとりで行動してますよね。実際はどうか分かりませんけど。 尾行してる相手が仕事してたり用事の最中だった時、探偵は近くの建物のそばに立ってたりとか喫茶店で見張ってたりします。そういう時の探偵のひとりでいる時の芝居を如何に巧く自然に見せるかでその役者の真価が問われるんじゃないか、と個人的には思うんです。で、そういう時のロークの独り芝居は非常に巧い。それでいてカッコいい。 観るヒトによっては気障ったらしく思えるかもしれませんけど、普通に歩いてるだけじゃ絵にならんでしょ。おっさんがひとりでぶらぶらしてる姿をここまでカッコよく見せる事が出来るのはロークの気障ったらしさがあればこそと言えます。 ロークは女たらしな事でも有名(デーブ・スペクターが特ダネで熱く語ってましたね)ですが、女性と絡む時のロークのリアクションは見てて笑ってしまいます。 特にキャスリーン・ウィルホイト演じる看護師に話しかける前の嬉しそうな表情(笑)。ローク本人に訊かないと断言出来ないですが、この嬉しそうなリアクションはアドリブな気がします。 ファンとしては採点は5点満点にしたいとこですが、客観的に見たら「うっちゃり投げ」と言えなくもないオチなんで4点にしときます。 あと、最後にメチャクチャ安っぽい残念な合成もあるのがマイナスポイント!最後の最後であれは興醒め!逆に笑ったわ! ★★★★☆(4点)
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