第5回 イヤー・オブ・ザ・ドラゴン

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第5回 イヤー・オブ・ザ・ドラゴン

5d86aab4-f8bf-4def-ad9a-718fc26dc9ad 1985年・アメリカ映画 監督︰マイケル・チミノ 脚本︰オリバー・ストーン/マイケル・チミノ 出演︰ミッキー・ローク/ジョン・ローン/アリアーヌ/レナード・テルモ/レイ・バリー/キャロライン・カヴァ 他 <STORY> ニューヨーク市警察の刑事部長スタンリー・ホワイトは犯罪が頻発するチャイナタウンの担当を受け、強引な捜査と摘発によりチャイニーズ・マフィア全体を潰そうと躍起になる。マフィアの新世代のボスである若い青年ジョーイはその冷酷なやり口から勢力を拡大していく。やがてスタンリーの存在を邪魔とみなしたジョーイはスタンリー抹殺を目論む。 <感想> 生粋の日本人であり、お恥ずかしながら海外旅行一回もしてない(笑)僕にはこの映画が伝えんとするテーマをきちんと理解するのは難しい。ミッキー・ローク主演って事で手に取りましたが、そうでなかったら観たかなぁと思いますね。 この映画は人種差別問題を意識した作りで、色んな人種が集う【移民の国アメリカ】の現実を映し出してます。それを100%理解するのは一度も(ほんのわずかさえも)アメリカの空気に触れてない自分には適わないと思う。 全く理解出来ないって事はないですよ。本題は犯罪を追う刑事アクションだから難しい映画ではない。ただ「差別って良くないなー」っていうレベルで考えながらこの映画を観ると面食らう事は間違いありません。アメリカ映画によくある差別用語の連発なんて優しいモンではなく、を余す事なく浮き彫りにしてます。 平和な日常生活を送っている延長でいきなりナイフで刺し殺される、銃で撃ち殺されるといった苛烈な場面展開をこれでもかこれでもかと盛り込むので苦手なヒトは嫌悪感を抱くでしょう。映画の出来自体は良いのに一般的に評価が低いのは、暴力描写の凄まじさに因るところが大きいかもしれません。 いじめ問題を提起する話を作る時に「いじめ」の描写を一切しないのは流石に無理があるし、言葉だけで言うのは説得力に欠ける。だから「いじめ」の描写を盛り込むのは必要な事だとは思うんです。が、その「いじめ」の描写で指をへし折ったり、バットで頭かち割ったりとかしたら、「いじめって良くないな」って思うどころじゃないですよね。問題提起の為に問題起こして「おかしいのは作り手(おまえ)や!」となるのは至極当然でしょう。 難点は主演のミッキー・ロークが刑事部長という役柄に対して若過ぎるという点。当時のロークは30代前半。ファンながら失礼ですが刑事部長に全然見えない(笑) 冒頭でちゃんとスタンリー・ホワイト刑事部長と説明されるんですが、ロークの見た目が若い事もあってか観てるうちに忘れてしまう。で、暴走気味の捜査を上から批判されて反抗する場面で「何でこのヒトは上司の言う事を聞かないんだ?」ってなるんですけど、そこで「そういえば刑事部長だった!同じ位、えらいヒトなんだ!」って思い出すんですよね(笑) ローク自身も役柄に相応しく見える様に白髪染めしてますけど、それでもやっぱり若いし、イケメンですよね。どう贔屓目に見ても大勢の部下を率いる部長クラスの人間、って感じじゃない。 監督はロークが若いのを承知の上で、身体能力を買って起用したそうです。確かにロークのアクションはなかなか目を見張るものがあり、90年代で低迷するなんて微塵も予想させない。けど、刑事部長ってのは違和感があるからランクをもう少し下げた警官にすべきだったと思います。まあ、刑事部長という役柄でないと描けないドラマが描けなくなるというのはありますけど。 ミッキー・ローク初の本格主演作品、という事もあるので採点はオマケして4点。『悪の華 パッショネイト』はエリック・ロバーツとダブル主演だったので、本作が初めての主演作であり、ロークの名を世間に知らしめた作品であると言えるでしょう。 ただ、あくまでもオマケしての4点なので、この映画がローク出演作の中では最高傑作とは思わないし、決して万人受けする映画ではないという事は断っておきたいと思います。本当にドン引きする位、暴力描写が凄まじい(あの映画オタクのタランティーノを唸らせたほど!)ので、未見でこれから観てみようかなと思ってるヒトはくれぐれもご注意を。 ★★★★☆(4点)
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