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 でも、兄貴はそのことをどう考えているのだろう。兄貴だって、由子さんがそんなリスクを冒すことには内心不安があるのではないか。とても心配しているのではないか。  俺は、久しぶりに兄貴に電話をしてみた。 「彰! 元気だったか? ていうか、お前のことは毎日由子から聞いてるから、分かってるんだけどな」  兄貴は明るい声だった。 「毎日? 毎日俺のダメ弁護士ぶりを聞いてるのかな? 由子さん、そんなこと一言も言ってなかった。人が悪いな」  俺は冗談めかして答えた。 「それはお互いさまだろ」  兄貴は笑う。  やっぱり、兄貴の声を聞くとほっとする。俺は今でも、兄貴っ子なのだ。
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