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「そうですね。係長も、困ったらいつでも頼ってくださいね」    車が動き出す。テレビからは夕方のニュースが流れていた。 ゴールデンウィーク初日、高速道路の混み具合を上から撮影している様子が映っていた。 ゴールデンウィークなんて、人が多いんだから家にいるのが一番と思っていたけれど、初日から出かけてしまっていた。 「お互いにな。一旦車置きに帰ってもいいか?酒飲みたい気分でな」 「もちろん。私もお酒飲みたいです」 パフェを食べたばかりで、お腹はあまり空いてない。 お酒を飲みながら、おつまみを食べるくらいがちょうどいいような気がした。 係長の住むマンションに、車を置く。 一緒に係長のマンションに入っていくのは、駐車場といえど緊張する。 休みの日に係長と会って映画を見て、車に乗って、パフェを食べて、そして今からお酒をまた一緒に飲む。 当たり前に過ごした1日だったけれど、これまでだと考えられなかった事だ。 「……人生って不思議ですね」
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