4(2)

33/39
前へ
/406ページ
次へ
この店の料理は、美味しかった。 海鮮だけでなく、肉料理も注文したけれど、全て満遍なく美味しい。 お酒も進んで、ほろ酔いになってきた頃、係長の目もとろんとしてきていた。 「やっぱり小嶋は、ショートカットの方が似合うと思うぞ」 遥香にも同じ事を言われたような。 皆んな酔うと、私にショートカットを勧めてくるのは、何故なんだろう。 勧めてくれるのは嬉しいけれど、似合うのか不安な部分が大きいので、思い切れない部分がどうしてもある。 「似合いますか、私にショートカットなんて。人生でずっとロングヘアですよ」 「絶対に似合う。俺が言うんだから間違いない」 妙な説得力がある係長。 「まあ……気が向いたら短くしてみます」 「眼鏡外して、ショートカットにしたら絶対にモテる。間違いない」 なんだか、遥香と似ている係長。 「好きな人にだけモテたら充分ですけどね」 色んな人に好かれても、好きな人に嫌われていたら意味がない。 好きな人なんて今はいないけれど。 「その好きな人に振り向いてもらうために、努力するんだろ」
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

540人が本棚に入れています
本棚に追加