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この店の料理は、美味しかった。
海鮮だけでなく、肉料理も注文したけれど、全て満遍なく美味しい。
お酒も進んで、ほろ酔いになってきた頃、係長の目もとろんとしてきていた。
「やっぱり小嶋は、ショートカットの方が似合うと思うぞ」
遥香にも同じ事を言われたような。
皆んな酔うと、私にショートカットを勧めてくるのは、何故なんだろう。
勧めてくれるのは嬉しいけれど、似合うのか不安な部分が大きいので、思い切れない部分がどうしてもある。
「似合いますか、私にショートカットなんて。人生でずっとロングヘアですよ」
「絶対に似合う。俺が言うんだから間違いない」
妙な説得力がある係長。
「まあ……気が向いたら短くしてみます」
「眼鏡外して、ショートカットにしたら絶対にモテる。間違いない」
なんだか、遥香と似ている係長。
「好きな人にだけモテたら充分ですけどね」
色んな人に好かれても、好きな人に嫌われていたら意味がない。
好きな人なんて今はいないけれど。
「その好きな人に振り向いてもらうために、努力するんだろ」
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