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「まあ、そう言われればそうですね」 「だろ」 「係長の好きなタイプってどんな人なんですか?」 ビンタされてた人は、すらっとした背の高いモデルのような人だったけれど、やっぱりああいうタイプなんだろうか。 「んー、難しいな。時期によって付き合うタイプもバラバラだったし」 「そうなんですか。この前はモデルみたいな人でしたね」 ビンタといえば怒られそうな気がしたので、伏せておく。 「その前は小ちゃいカワウソみたいな子だった。全然バラバラだ」 「おモテになってよろしいですね」 何故だろう。ほんの少しだけ、嫉妬している私がいる。 自分から聞いたくせに、聞くのが嫌だ。ほんの少しだけ。 「いくらモテても、結局フラれるんじゃ意味ない」 少し、しんみりする。完璧に見えていた係長も、悩み事が多いのを見ると、皆んな生きていれば何かしらの苦労があるんだなと思う。 「そのうち見つかりますよ、結婚を意識できる人が。係長って意外とネガティブですよね」
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