4(2)

35/39
前へ
/406ページ
次へ
係長は酔って赤らんだ顔で私をじっと見つめる。 たまにする、係長の真っ直ぐ見つめる顔が、苦手でもあり、好きでもあった。 「小嶋の好きなタイプってどんな人だ?」 そう言われてふと考える。 「そうですね……一緒にいて楽しいなと思える人がいいですね。結婚するなら、それが一番です」 この歳になってくると、顔とかではないような気がしてくる。 まあ、顔を選べるような容姿をしてないけれど。 「……良いこと言うな」 「係長も、ちゃんと相手の中身を見てあげた方がいいですよ。でないと、また愛想尽かされますからね」 係長は苦笑いをする。 「まあ、私が言えたことではありませんけど」 二股された私が言うことではない気がして、少し恥ずかしくなった。 「そんな事はない、小嶋の言う通りだ。それに……」 言うのを躊躇っているのかは、分からないけれど、係長は少し口を閉じる。 「何回も言うけど小嶋は、自分が思ってるより女だよ」 そういう事を真面目に真っ直ぐと言われると、ドキッとする。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

540人が本棚に入れています
本棚に追加