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係長は酔って赤らんだ顔で私をじっと見つめる。
たまにする、係長の真っ直ぐ見つめる顔が、苦手でもあり、好きでもあった。
「小嶋の好きなタイプってどんな人だ?」
そう言われてふと考える。
「そうですね……一緒にいて楽しいなと思える人がいいですね。結婚するなら、それが一番です」
この歳になってくると、顔とかではないような気がしてくる。
まあ、顔を選べるような容姿をしてないけれど。
「……良いこと言うな」
「係長も、ちゃんと相手の中身を見てあげた方がいいですよ。でないと、また愛想尽かされますからね」
係長は苦笑いをする。
「まあ、私が言えたことではありませんけど」
二股された私が言うことではない気がして、少し恥ずかしくなった。
「そんな事はない、小嶋の言う通りだ。それに……」
言うのを躊躇っているのかは、分からないけれど、係長は少し口を閉じる。
「何回も言うけど小嶋は、自分が思ってるより女だよ」
そういう事を真面目に真っ直ぐと言われると、ドキッとする。
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