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目を合わせられず、視線を外す。 「……ありがとうございます。そんな真っ直ぐ言われると、ちょっと照れますね」 そう言うと、係長も微笑む。 「プライベートでお世辞は言わない主義だからな」 「……有り難く受け取っておきます。ちなみに、係長も自分が思ってるより、いい男だと思いますよ」 「お世辞だったら無理して言わなくていいぞ」 「本音半分、係長を元気付けるための、本音半分です」 「なんじゃそら。結局本音100%なのか」 「はい。プライベートでお世辞は言わない主義なので」 ふたりで静かに笑い合う。 係長と一緒にいる時間は楽しくて、あっという間に過ぎていく。 この前とは違って、明日は仕事もないので、思う存分お酒を飲む。 どれくらいの時間滞在していただろう。 恐らく3時間ほどは飲んでたに違いない。 ふたりとも、かなり酔いが回ってきていたところで、店を出る事にした。 「そろそろ、帰るか」 目が虚ろで、立ち上がる時もふらつく係長。 そういう私も、少し足元がふらつく。調子に乗っていつもより飲み過ぎてしまった。
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