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よく考えたら、そもそも普段から仕事の話しかしたことがない。
たまたま一緒に出掛けて、映画に付き合ってもらっただけで、そもそも別に深い仲だったわけじゃない。
どうしようと考えているうちに、5月が終わろうとしていた。
季節は、少し夏の兆しが見えてきて、春から夏に移ろうとしていた。
小嶋は、1ヶ月で一気に社内の人気者へと変わっていた。
社内で話しかけられる頻度が格段に増えてるし、ビルの入り口で話しかけられているのもたまに見かける。
時間が経てば経つほど、連絡するのが難しくなっていた。
今更なんて連絡すればいいのかも分からないし、向こうも俺の事なんて眼中にないだろう。
ある日の金曜日、会社の人間に飲みに誘われたけれど行く気にもならず、家にそそくさと帰る。
気がつけば、最近小嶋の事ばかり考えている。
好きとかではない、と思う。
ただ、連絡をしていない事に対するモヤモヤが募る。
じゃあすればいいと言われれば、そうなんだけど、それが何故かできなかった。
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