5

5/27
前へ
/406ページ
次へ
よく考えたら、そもそも普段から仕事の話しかしたことがない。 たまたま一緒に出掛けて、映画に付き合ってもらっただけで、そもそも別に深い仲だったわけじゃない。 どうしようと考えているうちに、5月が終わろうとしていた。 季節は、少し夏の兆しが見えてきて、春から夏に移ろうとしていた。 小嶋は、1ヶ月で一気に社内の人気者へと変わっていた。 社内で話しかけられる頻度が格段に増えてるし、ビルの入り口で話しかけられているのもたまに見かける。 時間が経てば経つほど、連絡するのが難しくなっていた。 今更なんて連絡すればいいのかも分からないし、向こうも俺の事なんて眼中にないだろう。 ある日の金曜日、会社の人間に飲みに誘われたけれど行く気にもならず、家にそそくさと帰る。 気がつけば、最近小嶋の事ばかり考えている。 好きとかではない、と思う。 ただ、連絡をしていない事に対するモヤモヤが募る。 じゃあすればいいと言われれば、そうなんだけど、それが何故かできなかった。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

540人が本棚に入れています
本棚に追加