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小嶋の家は近すぎて、心の準備が追いつかない。
この前と同じように、小嶋はマンションの前で待っていた。
「……お疲れ様です」
車に乗り込む小嶋。服は会社にいる時とは少し違っていた。
「お疲れ。久しぶりだな」
毎日のように会社で会っているはずなのに、なんだか久しぶりのような気がする。
ショートカットにしてから会うのが初めてだからか、会社にいる小嶋とは別人のような気がした。
「そうですね。毎日会ってるのに、久しぶりな気がします」
俺と同じことを思っていた様子。
声のトーンは落ち着いていて、少し低い。
やっぱりちょっと怒っているように見えた。
二駅離れた所にある回転寿司屋に着くまで、会話はあまりなかった。
世間話をする雰囲気ではないし、これ以上怒らしたくはなかった。
「係長、お寿司だったら何が好きですか?」
話したくないのかと思ったけれど、小嶋から会話を振ってくる。
怒ってるわけじゃないのか?いや、怒ってますって言ってたしな。
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