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考えていたら、頭が混乱してきたから思考を停止する。 「寿司だったらサーモンとマグロだ」 ふふっと笑い声が助手席から聞こえる。 小嶋が横で微笑んでいるのが分かった。 さっきまで不安で堪らなかった俺の心が、落ち着く。 小嶋の笑顔を見て、ひとまずホッとした。 「相変わらず子どもっぽいのが好きなんですね」 「バカやろう。サーモンとマグロは大人も大好きだろ」 「どっちかというと子どもですよ」 「そういう小嶋は何が好きなんだ」 「私は貝類が好きです。つぶ貝とか赤貝とか」 「おおっ、子どもっぽくは……ないな」 「はい、大人です。係長と違って」 「おい待て。子どもっぽくないだけで、大人ではない」 「いや、係長よりは断然大人です」 「サーモンとマグロを舐めんなよ」 くだらない話が続いて、そのうち店に到着する。 金曜の晩の回転寿司屋は、少し混んでいた。 2組ほど待っていて、座って待つ。
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