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お寿司がレールに乗って運ばれてくる。 今やどこに行っても大体同じようなシステムだけれど、これは画期的だなと思う。 大人の俺でさえ、運ばれてくるとテンションが上がる。 子どもはもっと嬉しいだろう。 「違う。俺は、連絡したかったんだ。それだけは分かってくれ」 適当な男だとは思われたくない。 小嶋には嫌われたくなかった。 「大丈夫です。係長は考えすぎるタイプですからね」 つぶ貝をひとつ口に運ぶ小嶋。 満足そうに頷いていた。 俺もサーモンを食べる。 美味しい。回らない高級寿司屋に比べれば、やっぱり回らない方が美味しいんだろうけど、これはこれで美味しい。 わいわいと回転寿司で楽しく食べるのも、いいものだ。 「それより、怒っているのは次からです」 「あ、はい。なんでしょう」 背筋を伸ばす。回転寿司で背筋を伸ばしているのは、全国を探しても俺ぐらいだろう。 「ショートカットにしたせいで、色んな人から声をかけられるようになりました」 いまいちどの部分に怒りを持っているのか、分からなかった。
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