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「いいじゃねえか。すっかり社内でも人気者だし」 眉間に皺を寄せて、首を振る小嶋。 「嫌ですよ。話した事も無かった人に話しかけられて。気を使うし、今までの3倍は疲れます」 そう言われれば、小嶋は今までの環境が一気に変わった。 先輩に色々話しかけられて、気疲れは確かにしてるだろう。 「すまん。けどな、ショートカットにしただけで、こんなに人気が出るとは思わなかったんだよ」 改めて小嶋を見る。 ショートボブが本当に似合っている。明るい茶色がいい感じだ。 みんなが騒ぐのも分かる気がした。 別に元々ブサイクだった訳じゃない。 こっちが本来の小嶋の姿だ。 「それです、私が怒ってる最後の理由は」 「それ、とは?」 俺が鈍感なのか、小嶋の言いたい事をすぐに理解してやれなかった。 「……係長が勧めてきたから、ショートカットにしたのに、未だに感想を聞いてないです」 怒っているというより、これは拗ねているんじゃないのか。 これは、やばい、可愛い。 口を尖らせて、赤貝を口に運んでいる。
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