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「めちゃくちゃ似合ってるよ。可愛くなった。社内の独身の男が放っておかないのも、分かる気がする」
小嶋は、照れくさそうに微笑んで俯く。
「ありがとうございます。まあ、放っておいていただいた方が有難いんですけどね」
「そんな事言うなよ。みんな小嶋に好意があって話しかけてるんだから」
運ばれてきた茶碗蒸しを一口食べる。
相変わらず美味しい。
「それは嬉しいです。けど、やっぱり気は使いますよ。同じ会社の先輩ですから」
小嶋も茶碗蒸しを食べていた。
口を近づけて息を吹いて冷ます姿は、ちょっと間違えたら、あざとい女になる所だ。
「……もし気を使ってるんだったら、言えよ」
首を傾げる小嶋。いちいち仕草が可愛いな、おい。
「あ、そっか。係長も会社の先輩でしたね」
「おい、忘れるな。めちゃくちゃ先輩だ。係長だぞ」
楽しそうに笑う小嶋。機嫌は直っているみたいで、安心した。
「そうですよね、係長ですもんね」
「そうだ。この歳で係長は凄いんだぞ」
自分で言うと、凄さが薄らいでしまう気がするけれど、わざと大袈裟に胸を張って言う。
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