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「でも係長と話してるの楽しいです。他の先輩方と違って気を使うって事もないですし。まあ、会社の先輩なので、気は使わないとダメなんでしょうけど」 話すのが楽しい、気を使わない。これを言われて嬉しくない人はいない。 顔がにやけるのを必死に堪えて、真剣な顔を装う。 「いいよ、別に気使わなくて。俺と居るときくらい、素でいてくれよ」 小嶋と目が合う。微笑んで頷く姿に見惚れてしまっていた。 「ありがとうございます。係長も、私と居るときくらいリラックスしてくださいね」 「そうだな。じゃあ……係長って呼び方は会社の外ではやめよう」 「ダメですか?」 「ダメではないけど、係長は役職だからな。会社の外では係長じゃない」 係長と呼ばれると、仕事の話かと思って会社にいるような錯覚を起こしそうになる。 できれば係長というのは、会社の中だけの呼び方にしてほしかった。 「じゃあ……友哉さん?」 飲んでいたお茶を吹きそうではなく、本当に吹いてしまった。 「ちょっと、汚いですよ」
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