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「すまん。いきなり名前で呼ばれると思ってなかったもんだから」
「だって、他になんで呼べば良いんですか?」
友哉さんなんて、久しぶりに呼ばれた。
心臓の鼓動がうるさいくらいに激しくなる。
「……そうだな、それでいこう。ていうか、よく俺の名前知ってたな」
社内でも、俺の名前を知ってる人なんて、少数だと思う。
普段は係長と呼ばれているし、呼ばれたとしても伊藤さんとか、伊藤係長だ。
「……知ってますよ、そのくらい。ちなみに私の名前、ご存知ですか?」
「……菜奈」
合ってるかなと不安になりながら、呼ぶ。
「……きゅ、急に名前で呼ばないでください」
照れて俯く小嶋に、触れたい衝動に駆られる。
ここがお店でよかった。ふたりっきりでいたら、考えもせずに抱きしめていたかもしれない。
「菜奈だって、急に俺の事名前で呼んだだろ」
反応が面白そうなので、継続して下の名前で呼ぶ。
「そうですけど……ていうか、さらっと継続して菜奈って呼ばないでください」
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