540人が本棚に入れています
本棚に追加
いつも落ち着いている小嶋、いや菜奈が慌てて取り乱すのは珍しい。
こういう姿もいいもんだなと、見ていて思ったりする。
「……ダメか?」
今更小嶋とも呼びづらい。菜奈と呼ぶことに楽しさを覚えてしまった。
「いや、その……ダメではない、ですけど。照れるというか、なんというか」
歯切れの悪い菜奈。
「菜奈」
反応が可愛くて、面白くて、何度も呼んでしまう。
「もう……分かりました、それでいいですから。社内ではちゃんと小嶋って呼んでくださいよ」
顔が紅潮している菜奈は、諦めるようにため息を吐く。
「分かってる。俺の事も、社内では係長だからな」
「大丈夫です。さすがに会社で友哉さんなんて呼べません」
当然だけど、友哉さんと呼ばれる事に慣れない。
けれど、係長と呼ばれるよりは友哉さんの方が嬉しい。
怒っている、という話で急遽会っている訳だけど、気がつけば和やかに楽しく、晩ごはんを食べていた。
気が付けば、久しぶりに会社の外で会った菜奈を見つめてしまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!