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こんなに可愛かったっけ?と思いながら、つぶ貝を食べる菜奈を見る。
ショートカットにしたのは勿論だけど、ひとつひとつの仕草が、俺をドキッとさせる。
前からこんな風だっけ?
髪を耳にかきあげる仕草や、わさびをつけすぎて涙目になる所。その涙目のまま眉間に皺を寄せる仕草も、今までより可愛く見えた。
やばい、なんだこれ。なんか、今更緊張してくる。
何の緊張か、さっぱり分からない。
「友哉さん」
ふたりともお腹いっぱいになり、温かいお茶を飲みながら一息ついていると、急に名前を呼ばれる。
慣れる日が来るとは思えない。それほど、ドキッとする。
「……お、おう。どした」
「今度の休み、どこか出掛けませんか?」
言われた事の意味を理解するのに、暫くかかって、返事が遅れる。
デートの誘い……だよな?
向こうから誘ってくるとは、夢にも思わず、思考回路がストップしていた。
「あ、いや……嫌なら全然大丈夫です。ちょっと誘ってみただけなので」
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